この文章は私のお知り合いで現全教教文局長(2011年現在)得丸浩一さんが「季刊 人権問題」(兵庫人権問題研究所)にお書きになったものです。国家戦略として原発推進を主張してきた人々(企業・学者・官僚・政治家・自治体および教育委員会関係者)が教育内容に関わってどのように『原子力教育』(こんな言葉があったのですね)を推進し、国民から「原子力アレルギーをなくす」ための策略を巡らし実行してきたかの一端が書かれています。そしてそれに連動する形で「原子力教育」を推進する教師を育て、世論を形成しようとしてきたか、子どもを洗脳しようとしてきたかが書かれています。
 本人の了解を得ましたので、みなさんにも読んでもらえたらと思いUPします。(2011・9・8)

ねらわれる学校と教育
―「原子力教育」はどのように進められたか―

京都民教連・全教 得丸浩一

@5月31日のニュースから

 インターネットで配信された5月31日のニュースを見て驚きました。それは次のような内容です。

 超党派の「地下式原子力発電所政策推進議員連盟」(地下原発議連)が31日、国会内で第1回勉強会を開催し、自民党の森喜朗元首相や民主党の石井一選対委員長ら約20人の国会議員が参加した。会長の平沼赳夫たちあがれ日本代表は、東京電力福島第1原発事故を踏まえ「日本には大きな空洞を作る技術が確立している。(地下原発は)安全性からいって非常に意義がある」と述べた。

 

 「地下原発」というのは三木内閣当時に検討が始まり、91年に自民党内に「地下原発研究議員懇談会」が発足していますが、その後全く聞かなくなっていました。議連の会長はたちあがれ日本の平沼赳夫代表。顧問には民主党の鳩山由紀夫氏、羽田孜氏、自民党の森喜朗氏、安倍晋三氏の首相経験者のほか、谷垣禎一総裁、国民新党の亀井静香代表らが名を連ねています。

 

 ドイツ・スイス・イタリアが相次いで「脱原発」へ向けた歩みを表明し、世界の流れになりつつあります。原発推進の立場をとるフランスは地震国ではなく、日本のような古い原発もありません。

 福島第1発電所の事故から2ヶ月半。収拾の見込みがたたないばかりか、自宅に荷物を取りに帰るのも防護服を着て厳しい時間制限の中で、という状況が続いています。そしてこれは1年や2年で収まるというレベルではなく、20年、30年という長期的な問題であることも指摘されています。HIROSHIMA・NAGASAKIと並べられてFUKUSHIMAが世界中で認知される名前になる中で、当の日本で、4人の首相経験者が入って、原発を地下に作ろうという相談がされているというのは、質の低い冗談にもなりません。こういうのを「国辱」と言うのではないかと思うのです。

 

A「新・国家エネルギー戦略」

 2006年に経済産業省が「原油価格の高騰はじめ厳しいエネルギー情勢を踏まえ」て検討を進めたという「新・国家エネルギー戦略」が出されました。そこでは「供給安定性に優れ、運転中にCO2もほとんど排出しないクリーンなエネルギー源である原子力発電を、安全確保を大前提に推進する」とされています。これを元に「資源エネルギー庁」が作成した「エネルギー基本計画」においても「原子力発電」を「基幹電源として推進」と明記しています。

 これがその後ゆがんだ形でいっそう推進されることになる「原子力教育」の土台になります。

 

B日本原子力学会の圧力

 日本原子力学会の原子力教育・研究特別委員会は2009年、「新学習指導要領に基づく小中学校教科書のエネルギー関連記述に関する提言」を出しました。そこでは、「新・国家エネルギー戦略」や「エネルギー基本計画」にふれながら「将来を担う子供達に、このような資源問題と環境問題の解決策として、量と持続性の両面でも最も効果的な方法は現状では原子力エネルギーの利用であることを教え、原子力の抱える課題を解決し安全に利用していく科学技術の成功が次世代の子供達に委ねられていることを伝えていかなければなりません」と述べられています。

 「原子力が抱える課題」との記述が原子力発電の様々な危険や根本的な問題について考える内容ではないことはすぐに見えてきます。

 

「我が国では今日既に電力供給の三分の一を担っている原子力発電を今後どれだけ増やせるかが、資源問題と環境問題の解決の成否を決定付けると言えます。そこで、小学校理科の教科書では、原子力が発電時に炭酸ガスを排出しないことを、また、社会科の教科書では、エネルギー資源や環境問題の解決策の一つとして原子力発電が既に国内外で広く利用されていることを、分かり易く丁寧に教えるべきです」とした上で、教科書の記述について次のような様々な注文をしているのです。

 

「我が国と世界の将来にとって原子力発電の利用が必須であることに鑑み、放射線に対する過剰なアレルギーとなる記述は改めるべきです」

「我が国の原子力施設は、立地、設計、建設、運転、保守の各段階における厳格な規制システムにより、その安全性は高いレベルに保たれています。具体的には、『多重防護』の考え方に基づき、トラブルの未然防止を第一とし、それでも『人間はミスを犯す』、『機械は故障する』ことを前提に安全が確保されるように設計し、仮にトラブルが発生しても事故への拡大を抑え、更に、事故が拡大してもその影響を最小限に止めるように、何重にも安全対策が施されています」

「原子力施設の事故が起きる可能性を記載するだけでなく、原子力施設の安全性は高く、実際にはガン、自動車事故などよりもリスクが十分小さいことを併せて教えるべきです」

 

同学会の委員が「地球を考える会(NPO ネットジャーナリスト協会 会長:有馬 朗人)」(2009年9月)で行った講演資料は理科と社会以外の教科書にもふれ、以下のように指摘しています。

 

「中学 技術家庭…エネルギーの変換と利用の項目で、水力発電、火力発電、風力発電、太陽光発電と並べて原子力発電を説明→但し、写真のサイズは、風力発電、太陽光発電が圧倒的に大きく、誤解を招くおそれあり。実際の発電量に応じた扱いとすべき」

「高校 国語表現U…チェルノブイリ近郊から疎開した人々の悲惨な経験を聞き取り報告する長文の取材記事を、生徒が表現技術を身に付けるための例として掲載→原子力に関する恐怖感を植え付ける文章。文章を熟読する国語科目の影響力を考えると、表現技術を分析し学ぶ題材として妥当であるか疑問」

「高校 英語ライティング…意見に反対する例文として以下を掲載「彼は原子力エネルギーの使用に反対です(英文略)。更に次の穴埋め問題を掲載「私たちには原子力エネルギーが必要です」「そうは思いません」(英文略)→我が国の将来にとっての原子力の重要性を考えれば、生徒が何回も繰り返して暗記すべき英語例文として不適切。他に題材はいくらでもあるのではないか」

「高校 英語U…チェルノブイリ原発近郊のプリピャ村に育ち、家族ともども事故による放射能の影響を受けた少女が、被ばく者を支援するための資金集めのために音楽活動を続け、日本にも滞在した実話→我が国の将来にとっての原子力の重要性を考えれば、生徒が熟読する英文として好ましいか疑問。他に題材はあるのではないか」

 

もちろん理科と社会はもっとたくさん扱われています。「他に題材はあるのではないか」と繰り返していますが、そのままこの委員に返したいと思います。ここまでの執念、他に使い道があるのではないかと。

 

C学習指導要領

 今年度より小学校で、来年度は中学校で本格実施となる学習指導要領は、「新・国家エネルギー戦略」などの圧力を反映したものとなっています。「中学校学習指導要領解説 理科編」には「原子力発電ではウランなどの核燃料からエネルギーを取り出していること、核燃料は放射線を出していることや放射線は自然界にも存在すること、放射線は透過性などをもち、医療や製造業などで利用されていることにも触れる」と、原子力発電への配慮がされ、日本原子力学会は「特筆すべき進展である」と持ち上げ、「教科書がこの方向に沿って充分記述されることを期待したい」と注文を付けています。

 この学習指導要領にふれているものが他にもあります。「社団法人 日本原子力産業協会」が昨年4月に出した「原子力人材育成関係者協議会報告書」は127ページに及ぶ大部な物ですが、その中で「学習指導要領への対応」は「最近の情勢変化を踏まえ、取組の充実が求められる重要な課題」として位置づけられています。ここでは原子力学会の「提言」について「日本原子力学会が実施している小中高校の教科書におけるエネルギーや原子力に関係する記述適正化のための提言活動は、学習指導要領の改訂を踏まえこれから新しい教科書が出版されることを考慮すれば、活動を継続する意義は大きい」と賛美しています。

 

D原発推進の教師づくり

 この「報告書」には「新しい学習指導要領の内容を自らは学んでこなかった教員も想定され、教員が新たに追加された内容について研修する機会の提供を支援することも重要である」と記述されていますが、それは既に行われています。原発建設推進のための「エネルギー対策特別会計」を原資とした「原子力教育支援事業」は、原子力施設の見学や副読本の普及、ポスターコンクールなどを行ってきましたが、その中に「原子力・放射線に関する教育職員セミナー」があります。主催は文部科学省と経済産業省資源エネルギー庁。セミナーは北は札幌、南は長崎の全国9カ所でそれぞれ二日間開催され、内容は「新学習指導要領での原子力・エネルギーの取り扱い/原子力・エネルギーの最新情報/原子力・放射線の基礎知識/教育支援制度の紹介」となっており「日本の電気の約3割は原子力発電で作られています。日本のエネルギーの中での原子力発電の位置付けや、その必要性・安全性、ウラン資源の有効利用を図る核燃料サイクルについても解説します」などと述べられています。キャラクターの吹き出しには「新学習指導要領で加わった原子力・放射線教育に使える情報が盛りだくさん!」「授業ですぐに使える指導方法や教材が入手できますぞ」とも強調されています。

 この方向での授業実践を広げてきたのが「エネルギー教育全国協議会」で、今年の6月で既に63回目のシンポジウムを開催しています。「座長」にはTOSSの向山洋一氏が座っています。この「協議会」が主催して今年2月に行われた第2回「原子力教育」模擬授業全国大会で向山氏は、「例えばこの稼働率低下には正しい知識を持たないために、新潟中越沖地震によって被災した柏崎刈羽原子力発電所を、安全が確認されてもなお、2年間も稼動させないという現実があります。この背景には正しい知識を持っていないために、日本国民全体を覆っている原子力発電に対する“拒否感”の存在があることは否めません。こうした実態を解消するためにも、事実に立脚した正しい知識を子どもたちはもちろん、学校や地域にも広げて欲しい」と挨拶したとのこと。

 

E「交付金」

 「原子力教育支援事業」の中には「原子力・エネルギーに関する教育支援事業交付金」があります。これは文部科学省から都道府県に渡されるお金ですが、「原子力発電施設等が立地している道府県」には年間1000万円。「複数の事業所が立地している地域」は1事業所あたり500万円がプラスされます。六つの施設がある福井県は単純に計算すると3500万円ということになります。

福井県教育委員会は、「平成二十三年度 環境・エネルギー教育支援事業 実施要項」に「物品の購入や施設見学会の実施等については、すべて原子力教育に繋がる内容である必要があります。そのため、原子力教育を行わない学校の備品整備、原子力関連施設を含まない施設見学などは対象経費として認められませんので、ご留意の上、事業計画を精査してください」との但し書きを入れています。出されたのは東日本大震災の後。すぐに福井県教育委員会へ電話してみました。担当者が電話に出るまでに二日かかりましたが、やっと出てきた担当者は何かに怯えるような口ぶりで「文部科学省からの指示です」と答えました。昨年の秋、事業仕分けにおいてこの事業は、「原子力を扱わないものにまでお金を出している」との指摘がされ、文部科学省は「交付金事業」の「事務連絡」において「事業仕分けの場において、その使途(単なる理科教材の購入や、専ら原子力以外のエネルギー教育のみ利用されている)についても厳しい意見がなされ、財政当局においてもその改善内容について注目しており、上記の取組以前のものとして、原子力の教育に繋がる取組となるよう今一度の精査をもお願いいたします」と記述しています。福井県教委の男性職員の言ったことは嘘ではなかったということです。確かに、昨年度の指定校の一つだった京都府立桃山高校の実施内容を見てみると、行われたのは @黒部ダム見学 A講演会(内容は、「食料環境とバイオエネルギー問題) B大阪ガス科学館見学 の三つで、確かに原子力は扱われていません。しかし、福島原発の事故の後に、ことさら原子力教育を取り上げるというのは(その危険性に限定した内容なら別ですが)いくらなんでも問題です。

 

F課題研究コンクール

 この「教育支援事業」の中で行われている「原子力・エネルギーに関する課題研究コンクール」では、「原子力を含めたエネルギーについて課題研究活動を行い、その活動で得た成果をまとめた課題研究ニュース(壁新聞)を制作」するとされています。これまでの入賞作品はインターネットですぐに見られます。

昨年度、文部科学大臣賞を受賞した高校のものは、「持続可能な選択とは?」という見出し。中央に火力・水力・風力・原子力の4つについて環境・経済・安定供給の3点で評価し、最後に「科学的・客観的な総評価」がされた表が載せられています。ここでは「水力」と「原子力」が「◎」になっています。

優秀賞は2校が受賞しており、その一校である福島県内の学校の新聞の見出しは「祝 結婚40年」。リードの文にはこうあります。「東京電力が初めて建設・運転した福島第一原発は平成23年3月で営業運転開始40年周年を迎える。福島第一原発は福島県の大熊町と双葉町にまたがって位置していることから、東京電力と大熊町・双葉町との付き合いは40年以上だ。東京電力と自治体の原子力発電所建設当時から現在に至るまでは、まるで男女の結婚生活である」

 紙上の大文字だけを集めると「共生と共進〜地域とともに〜」「原発は安全約6割」「原子力と共に生きる」「ありがとう原発」「プルサーマルは安全」…。

もう一校は静岡県の学校。「原子力を伝えたい」と題された、まとめとも言える部分は「原子力の恩恵を少なからず受けている私たち日本人は私たちの暮らしを支える原子力という存在に自分から歩み寄り、正しく理解すべきなのではないだろうか」と締めくくられています。

「原子力を含めたエネルギー」としながらも、上位入賞した作品は全て原子力発電のみを持ち上げる内容になっています。風力や地熱などを扱ったものは、あったのかもしれませんが入賞はしていません。「課題研究」であるにもかかわらず、その危険性についての論考は、安全性の裏付け部分にしか登場しないのです。

コンクールに参加する子どもたちは最初から「主催者」の意図を感じ取っています。

ちなみに、昨年度の「原子力ポスターコンクール」で文部科学大臣賞をとった作品の標語は「ぼくたちのみらいをはこぶ原子力」(10歳)、経済産業大臣賞は「地球を温暖化から守るきれいなエネルギー原子力」(13歳)でした。

 

G副読本など

「新学習指導要領対応」と明記された原子力発電を扱う副読本が原発事故の後話題になりました。文部科学省と経済産業省資源エネルギー庁が発行する副読本は、小学生用が「わくわく原子力ランド」、中学生用が「チャレンジ原子力ワールド」。フルカラーで全国の学校に配布されています。それぞれ「児童生徒用」「教師用解説編」「児童生徒用ワークシート」「教師用ワークシート」の4種類ありますから、これも様々な問題が指摘された道徳副読本「こころのノート」よりも力が入っているとも言えます。

この中学生版の「原子力発電所の安全対策と地震対策」のページに「原子力発電所では、事故を未然に防ぎ、事故への発展を防止する対策が取られている」「原子炉は放射性物質を閉じこめる五重のかべで守られている」「大きな地震や津波にも耐えられるよう設計されている」との記述があることが知られ、一斉に批判が集中したために、文部科学省はそのホームページから削除しています。

この部分のワークシートは「(  )に入る言葉を入れましょう」という指示で、「五重の壁」と「安全対策」を印象づけるものになっています。

小学生版では津波についての記述はありませんが、「五重のかべ」と、地震についても「原子力発電所はしっかりした地盤の上に建てられている」としているところは同じです。

どちらも「原子力施設の事故」を扱っています。しかし、スリーマイルやチェルノブイリ、茨城県JCOウラン加工施設の事故について簡単に説明し、となりのページにたくさんの「対策本部」の関係を図示した上で「日本では過去に起きた事故を教訓に、安全を確保するしくみを強化している」(中学生版)「原子力は、施設事故をふせぐしくみやいざという場合にも周囲への影響をふせぐしくみで安全が守られているのじゃ」(小学生版)とまとめられていて、「事故は過去のもので、これからはあり得ない」という認識を植え付けるものになっています。

茨城県は「小学生のための原子力ブック」という副読本を独自に作成しています。ここでも「安全性」が強調されるのですが、文部科学省のものとの大きな違いは、「事故がおこったらどうすればいいのという見開きのページがあり、避難するときの服装や、福島原発事故以降有名になった「ヨウ素剤」についても「安定ヨウ素剤は、放射能による体への害を少なくする薬です」と紹介されていることです。つまり、事故がおこる可能性を否定しない作りになっているということです。

文部科学省がかかわった副読本の他にも、経済産業省資源エネルギー庁発行の冊子やパンフレットが学校に配布されています。「わたしたちの暮らしとエネルギー」「日本の原子力発電」「エネルギーとくらし」「放射線とくらし」など、全てカラー印刷です。

文部科学省はこの副読本の内容について「見直す」としていますが、これまでの記述のように、福島原発事故を過去のものとして、「より安全な原子力発電推進」が打ち出されることが懸念されます。

 

H原子力・エネルギー教育支援情報提供サイト「あとみん」

「原子力教育支援事業」には「原子力・エネルギーに関する教育情報の提供」が含まれています。副読本はそこに位置づけられます。「情報の提供」の一つの柱になってきたのが「児童生徒及び教職員等を対象にインターネットを用いて学校教育の場や家庭学習などで活用できる」サイトとしての「あとみん」です。

様々なコンテンツが用意され、子どもの年齢にあわせたページも用意されています。インターネットを使っての調べ学習が小中学校でも主流になりつつあることに対応して、学校の教室で副読本を使っての学習だけでは広がらない部分を補い、子どもたちに「安全神話」を植え付けるグッズとしてよく考えられていると感心します。

 その中には「げんしろうクイズ」(身近な環境問題などが悔いず形式で出題され、2〜4択方式で回答。チャンピオンクイズをクリアして、アバターを「合格者リスト」に登録しよう)や、「カルタゲーム」(遊びながら楽しく原子力やエネルギーについて学べるコーナーです)、「みんなのエコ・エネ教室」(「放射線」「原子力」「環境」「エネルギー」についてそれぞれ4つのテーマの授業が受けられます)、「電気のはじまりをさがすたび」(電気ってどこからくるのかな?そんな素朴な疑問を解決するために、家庭のコンセントから電線をたどり、電気を知る旅に出ます)などの、いかにも子どもたちが喜びそうなコンテンツが用意されています。今年5月上旬に開いてみようとしたところ、これらは全て「現在工事中です」の表示が出て、見られませんでした。今、この原稿を書いている6月下旬でもまだ「工事中」のままです。見られると困る内容を3月までは子どもたちに見せていたということでしょう。

 

Iねらわれる学校と教育

「エネルギー基本計画(骨子)」は最後に「子供の教育をふくめ、国民に正確な情報を提供するための取り組み強化」が明記されています。「子供の教育」から書き出されているところからも、子ども・学校・教育が真っ先にねらわれていたことがわかります。また、「正確な情報」というのが原発推進者たちにとって都合のいい情報であったことは今や周知の事実です。

戦争を賛美し、民主主義を否定する自由社や育鵬社の「歴史」「公民」教科書を採択させようとする策動が強まっています。ここでも、子ども・学校・教育が真っ先に狙われているのです。

学校現場は改定学習指導要領によりいっそう過密化がすすみ、子どもも教職員も朝から夜まで混み合った道を走り続けるような状態が続いています。与えられたものに疑問を持つゆとりもなく、「原子力の安全神話」や「侵略戦争の正当化」が教職員と子どもたちに注入されていく危険が高まっているような気がします。

しかし、東日本大震災と福島原発事故は、「子どもたちのいのちを慈しみ、人間として大切にする学校」こそが求められていることを、多大な痛みの中で訴えました。今こそ、子どもたちとともに共同の取り組みをすすめる大きなチャンスでもあるのだと思います。

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