加茂街道で葵祭を見る
Byかばのしっぽ
 京都の三大祭り(葵祭・祇園祭・時代祭)のうち葵祭だけは今までご縁がありませんでした。
 平安時代の装束に身を包んだ人々が京都御所から下鴨神社そして加茂街道を上賀茂神社まで行列される祭りだぐらいの知識でした。毎年新聞記事の写真やTVなどで流れる映像を見ていますから何となく見たような気になっています。今年は幸い日曜日に行われるようですから、出かけました。
 
 
1,葵祭とは
 葵祭と言えば、思い出すこと。実は私が初めて京都検定1級の試験を受けたのは第5回(2008年12月14日)なのですが、この時にこんな問題が出題されました。
「葵祭について、150字以上200字以内の文章で書きなさい。上下賀茂神社の正式名称、5月15日に行われる行列の名称、本列および女人列の中心人物は必ず含むこと)
 この問題、神社の正式名称は分かったのですが、あとの行列の名称が分かりませんでした。女人列の中心人物は斎王代であろうと思ったのですが、本列というのがさっぱり分からず、たぶん10点満点で3〜4点しか採れなかったと記憶しています。
 模範解答はこのようなものでした。
「葵祭は賀茂別雷神社(上賀茂神社)および賀茂御祖神社(下鴨神社)の例祭で、京都の三大祭りの一つ。古くは賀茂祭といい、祭儀に際しフタバアオイを掛けたことから、江戸時代以降葵祭と呼ばれるようになった。5月15日に京都御所健礼門前を出発する行列は、路頭の議と呼ばれ、勅使(近衛使)を中心とする本列と斎王代を中心とする女人列からなる。王朝装束に身を包んだ約五百人の行列が、新緑に映える都大路を優雅に練り歩く。」

2,葵祭はどこで見たらいい?
 ここから書くことは私の勝手な思いこみですから、見当はずれかもしれませんので。
 はて、この祭をどこで見るのが最高かなということです。
 私が考えたのは次の5カ所でした。
@京都御所内特に建礼門付近で見る
A京都御苑丸太町出入口付近で見る
B出町柳下鴨神社付近で見る
C加茂街道で見る
D上賀茂神社一の鳥居付近で見る
 午後からはきっと疲れも出て午前中の方がいいのではないかと思いました。御所及び丸太町は人出が半端じゃないだろうと思いました。神社では舞いも奉納されるようですから、それも見られたらいいなと思って、下鴨神社で待つのがいいのではないかと考えました。
 御所は10時30分出発。
 11時20分に京阪出町柳駅降りました。行列が賀茂大橋を渡っているのが見えます。下鴨神社へ向かう河合橋は通行止めでした。もう一つ上の御園橋まで歩くことになりました。下鴨神社周辺は凄い人出で、とにかく入ることができませんでした。結局北の端まで歩いて西の端河原町通りまで出て、北西角の入り口で様子がようやく知れました。奉納の舞いどころではなく、神社内には関係者しか入ることができないと言うことでした。
 この北西にある出入口から午後は出発するのです。時刻は2時10分。まだ2時間以上ありました。出入り口付近のローソンの従業員の方が自分の店前が最高の祭り見学ポイントだとふれ回っていました。そして弁当の案内もいっしょにしていました。なかなか商売熱心です。
 私が神社の中を見ていたら下鴨神社のガードマンの方が、「写真は撮れましたか」と聞いてこられました。「いえ、全然」と申しましたら「出入口から200m付近がいいですよ」おっしゃっていました。神社から河原町へ出てすぐは、まだ行列が足揃えをしていて、200m程進んでやっと行列が落ち着くのだそうです。私は「加茂街道がいいと思うのですが」と申しますと、「そうですね。加茂街道も並木道で緑が美しくていいですね」とおっしゃいました。それで、私は加茂街道で待つことにしました。
 それにしても、まだ下鴨神社出発まで2時間30分もあります。私は河原町通を北へ歩き、洛北高校前を左折して、北大路通りを西へ歩きました。食事時でしたので、ハンバーグがおいしいという評判を聞いたことのあるお店で昼食にしました。
 その後、まだ時間があったので京都府立植物園へ行きました。「芍薬」「バラ」が咲き初めていました。たぶん3時頃加茂街道付近を通るだろうと思いましたので、2時半頃に植物園を出たら、最高のタイミングでした。賀茂川を挟んで植物園の対岸(西側)が加茂街道です。北大路橋と北山橋の間に飛び石で賀茂川を渡れる場所があって、そこを渡って土手を上ったら、先駆けの警察のパトカーが見えました。10分ほどで行列の先頭を行く平安騎馬隊が見えました。
 この加茂街道沿いの人間の数ですが、かなりの距離に隙間なく人が大体二列になって両側いるというものでした。前の人が縁石に座って道路に足を出しておられたのですが、警察は歩道に上がるように指導していました。2車線ですが、かなり狭く(5〜6mかな?)馬や牛が暴れ出して座っていたら逃げられないという理由でした。なるほど。
 以下、私が撮った写真です。とにかくこれほど行列が近くで見られる場所はないのではないかと思います。バックが新緑ですのでそれに衣装などが美しく映えていました。両側並木ですので日陰で涼しかったです。
 
         
3,私の感想
 祭りを見た私の感想です。
@衣装の色が美しいと思いました。衣装の染めは今までに見たことがないような落ち着いた色合いでした。ウグイス色とか桃色とか山吹色とか藍色とかなのですが、何れも絵の具の色ではないのです。
A花笠(絹傘)が重そうで大変だなと思いながら、その美しさに感心しました。
B牛車が2台あったのですが、藤の花やヤマブキに飾られ、その漆装飾が見事で見惚れました。
C牛も馬も京組紐や綾錦などで飾り立てられて鮮やかでした。
D履き物はわらで作った草履なのですが、中に雪靴に飾りが付いたようなな派手なものもありました。
E現代の私たちは、平安時代を想像して楽しんでいるのですが、平安時代の人たちはどう思って見たのかなと思いました。清少納言も紫式部も賀茂祭について書いているようですが、同時代の装束の行列をどのように見ていたのでしょうか。ひょっとすると、今で言うファッションショーのような感覚で見ていたのかなと想像しました。
F静かな祭です。祇園祭のように音楽が奏でられるわけでもありません。時代祭のように次は何の行列であるかを明示するような看板をもって歩くわけでもありません。どこかからアナウンスが聞こえてくるわけでもありません。ただ、静かに行列が進むのです。京都の祭は参加型のものはほとんどありません。行列や巡行を見せてもらう祭です。そういう祭の中でもこの葵祭は最高に京都らしい祭だなと思いました。
 

 
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2011・5・15(日)撮影
2011・5・16(月)作成