別府山地獄昭平くん

2004・12・28(火)撮影
2005・1・1(土)作成

 別府地獄めぐりというのがあります。9つの地獄(龍巻・血の池・鬼石坊主・鬼山・金龍・カマド・山・海・白池)をめぐるコースになっています。
旅行案内書によりますと、「別府観光最大のみどころ。地獄とよばれるのは、地中から熱湯、噴気、熱泥が勢いよく地中に吹き上げる様子が、まるで地獄のような様相であることからだ」とあります。
 所用時間は2時間30分、各地獄は入場料400円で、すべて巡れる共通券は2000円となっています。
 私は修学旅行で行ったのが高校2年生の時でかれこれ40年前。この時も地獄めぐりしました。今から7年前にも全地獄回りましたので今回は行くつもりはなかったのですが、山地獄にかばが飼われていることを思い出して、会いに行ってきました。

山地獄

 山地獄の紹介にはこんなことが書いてありました。
「山の岩間から噴気が立ち上り、風がないと下が見えないほど。温泉熱を利用して、植物の栽培や、ゾウやカバなど熱帯の動物が飼育されている」

山地獄の昭平紹介板

昭平は平成元年4月17日生まれのオスだそうです。昭和と平成またがった年に生まれたのでこの名前が付けられたのでしょうか。

昭平スナップ

実はこの昭平君は他の動物園にいるカバさんとは違うのです。
何が違うかと言いますと、この昭平君は餌を自分で稼いでいるのです。彼は人間に近づいてきて大きく口を開けます。
 そして一皿100円のえさを口の中に投げてもらうのです。
 私が行った時はジャガイモを投げてもらっていました。一口大に切ったもの5切れ一皿に入っていました。私が買おうとしていたら飼育係の方があと2,3切れおまけを入れて下さいました。
 それを大きく口を開けた昭平に入れてやるのです。昭平は喉のところでひとまずためて、そしてゆっくりかんでから飲み込んでいました。前歯も犬歯(牙)も全部切られていました。私はカバさんの口の中をゆっくり見る機会になったのですが、何か可哀想になってきて、急いでジャガイモを口の中に入れました。
 で、何が可哀想なのかなと考えたのです。こういう芸当を覚えることを強要されているカバさんは幸せなのかどうかと考えたのです。カバは大食いですからエサには弱いのです。その弱みにつけ込んでるようで嫌な気分になったのです。しかし、この芸当のおかげでこのカバさんは少なくともこの「山地獄」で一番の人気者なのです。カバが一番の人気者の動物園ってないと思うのです。それがカバにとって幸せかどうかは別です。
 
 エサを自由にやらせる動物園はありません。ましてこの昭平みたいに無警戒に人間の投げるものを食べるのは危険です。それは神戸の出目男の例でも分かることです。。(昭和60年(1985)9月出目男がエサを食べられなくなり死亡します。解剖してみたら腸に直径9cmの緑色に変色したゴムボールと御影石が入っていました)
 
 一方で動物園でエサを自由にやれたらどんなに楽しいだろうといういうは想像できます。
 私も子どものころサル山の猿にエサを投げる楽しさを味わった世代ですから、今の動物園が昔ほど楽しくないと思います。でもそれは動物のことを大切にするからです。

 別府の山地獄の昭平君を見ながら、動物を見せる動物園の役割って何だろうと改めて考えさせられました。

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