当然ですが宇治にも石仏があります。
宇治橋の近くに魅力的な石仏が2体あります。その紹介です。
宇治橋に近い順に見ていきましょう。
(1)東屋観音(宇治橋観音石仏)
宇治市東の内
京阪宇治駅を降りるとすぐ宇治橋です。その宇治橋の東詰に『源氏物語』宇治十帖にある東屋の古蹟があります。この場所は一段高くしてあり、小さな祠などとともに、この聖観音石仏があります。花崗岩製。別石の蓮華座は高さ20cm、幅1mの楕円形です。聖観音は二重円光を負う1.15mの厚肉彫りで、宝冠を付け右手施無畏印、左手は蓮華を持ち結跏趺坐しています。穏やかで優しい表情をしたこの石仏は鎌倉後期の造立と思われています。
京都市内には地蔵・阿弥陀石仏が多いのですが、観音石仏は少ないのです。平等院は極楽をイメージしたお寺です。その道すがらにある観音石仏です。貴族の別荘地宇治にあるこの石仏は、貴族のみならず民衆にもその慈悲を授け続けてきたと思われます。
宇治橋から府道を少し三室戸へ戻り、東へ行くと『宇治市源氏物語ミュージアム』があります。このミュージアムの道を北へ京都翔英高校の南の道を行くとめざす蜻蛉石がありました。
蜻蛉石の周りは生け垣になっています。そして、「蜻蛉之古蹟」という石標が建っていて、ここも東屋同様源氏物語宇治十帖にちなむ古蹟です。
この石標の右隣が生け垣になっており三方囲まれています。北側には翔英高校の校舎が見えます。その生け垣の中にめざす蜻蛉石がありました。まずその説明です。
まず正面(南面)には蓮華座に結跏趺坐する定印阿弥陀仏が彫られています。
そして、この石の右(東面)に観音菩薩像が彫られ、左(西面)は勢至菩薩像です。そして勢至菩薩の前面に発願者と思われる女性が彫られています。残念ながら右面は生け垣が迫っていてよく分かりませんでした。
勢至観音菩薩 |
観音菩薩像 |
おそらく、平等院の阿弥陀信仰につながる石仏であろうと思われます。平安時代の貴族が野辺に造立した貴重な遺品です。
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