湖東三山石仏巡り

龍應山西明寺 金剛輪寺 釈迦山百済寺

 龍應山西明寺
(滋賀県犬上郡甲良町池寺26)

 紅葉の時期になったらお寺の前を通る国道307号は動けなくなるそうです。11月15日ぐらいから1週間ぐらいが美しいと受付の方はおっしゃってました。手入れの行き届いたお庭や美しい建物が印象的でした。
 残念ながら西明寺には石仏はありませんでした。
 本堂と三重塔が国宝。鎌倉時代のもので、飛騨の匠が建立した純和風建築。釘が使われていないそうです。屋根は桧皮葺。二天門が重要文化財に指定されておりこれは室町時代のものです。重要文化財の仏像が本堂に多数ありました。中に親鸞上人像。説明によりますと越前に流される時に立ち寄ったとのことでした。
重文二天門 国宝本堂(瑠璃殿) 国宝三重塔

国指定名勝庭園

金剛輪寺
(滋賀県愛知郡秦荘町松尾寺873)

 金剛輪寺は行基菩薩の開創と伝えられています。このお寺の本尊は行基菩薩作の秘仏の聖観音だそうです。本堂内に鎌倉初期の阿弥陀様二体を初め見応えのある仏様が多数おられます。特別公開されている日本最古の大黒天を拝観することができました。
 湖東三山の三か寺とも紅葉で有名ですが、特にこのお寺は「血染めの紅葉」で有名です。
重文三重塔大日如来
重文二天門(室町時代) 国宝大悲閣本堂

(1)眼病み阿弥陀石仏

 本坊から二天門への参道すぐ右に最近立てられた地蔵堂があります。それを越えて山道左へ100mほど登っていきますと「石仏」の案内があり、林の中に簡単な覆堂がありその中におられます。分かりにくいです。本坊近くの茶屋で訪ねたのですがご存じなくたまたまおられたお庭を手入れされていた親切な方が案内してくださいました。以前は眼を患った方々の信仰厚い「お地蔵さん」だったそうですが最近はめったに拝む方もないとか。
「高さ98cm花崗岩一石に蓮華座に座す像高63cmの定印阿弥陀像が半肉彫りしたもので、像の左右に種子で観音・勢至をあらわしている。南北朝末期ごろの造立と思われる」(近江の石仏:清水俊明)そうです。

(2)参道左の阿弥陀石仏

 高さ1.36mの花崗岩に座高83cmの定印阿弥陀像が厚肉彫りされています。下に別石で反花座(かえりばなざ)を設けてある。鎌倉後期の作。光背上部にキリーク(弥陀)の種子があり、左右にア字を六個あらわしている。

(3)地蔵座像石仏

 本堂右手の鐘楼横ををさらに登っていくとおられます。高さ74cmの舟形に像高38cmの地蔵座像を浮き彫りしてあります。蓮華座、さらにその下に格狭間入りの基壇が見られます。右手に錫杖、左手に宝珠を持っておられます。5等身かな、かなり大きな頭部に彫られています。南北朝末期の作。「関西石仏巡り:清水俊明」

(4)石造宝塔

この地蔵座像石仏の近くに石造宝塔がありました。大変立派なものです。

(5)千体地蔵

 二天門へ向かう参道の両側に千体地蔵が並んでいます。そしてその後もお地蔵さんは作られ続け現在1900体あると伺いました。同じ大きさの同じ顔かたちのようですが、微妙に違います。風車が飾られていてお花が供えられていました。番号が打たれています。1番は武村元知事のお地蔵さんだそうですから、まだまだ最近のお地蔵さんです。

釈迦山百済寺
(滋賀県東近江市百済寺町323)

 聖徳太子の創建というこれまたよくあるパターンなのですが、その名前からして渡来系の人々との関係を思わせます。平安末から鎌倉には塔頭三百余坊だったそうです。戦国時代織田信長に攻め滅ぼされ兵火にあいました。ルイス・フロイスの書簡には「(百済寺)と称する大学には、多数の相互に独立した僧院あよび座敷と庭園を備えた僧坊一千が建ち並びまさに地上の天国で…」という記述があるとのことです。当時の百済寺の栄える様が想像できます。
 喜見院(本坊)の庭園が見事です。山門、本堂、仁王門などは江戸時代のものです。
 NHK大河ドラマ「功名が辻」のロケ地に選ばれたそうです。

喜見院(本坊)池泉回遊式庭園

天下遠望の名園 

 残念ながら比叡山を望むことはできませんでしたが鈴鹿山系の中腹にあるという百済寺だけあって、素晴らしい眺めでした。

(1)弥勒半跏石仏

最近造立された弥勒菩薩半跏思惟石仏です。お寺にある年代不詳の金銅弥勒菩薩半跏思惟像を模して作られたとのことです。

(2)石造宝篋印塔

塔身部が丸くなっていて五輪塔のよう。四方仏が刻まれている。基礎の格狭間内に蓮華文様。近江ならではとか。鎌倉後期の作。

建造物と石畳の道

赤門 仁王門 本堂
 西明寺、金剛輪寺、百済寺…湖東三山の各お寺とも紅葉の時はさぞやと思いました。石仏巡りに行ったのですが、それよりも建物の美しさ、庭園の見事さ、木像仏の美しさを見せていただきました。
 来年平成18年9月18日(月)〜10月27日(金)門外不出の秘仏本尊を三山一斉に公開されるそうです。

2005・8・28(日)撮影
2005・8・31(水)作成

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