(京都市南区上鳥羽塔ノ森梅ノ木1)
藤棚を観る会 | 施設見学 |
資料編 (1,下水道のやくわり 2,下水道を大切に使いましょう 3,汚水処理にかかる経費 4,下水道汚水排水量の決め方 5,下水道使用料と下水道財政 6,これからの下水道) |
鳥羽水環境保全センター(旧鳥羽処理場)は、平成13年から4月の最終の土・日曜に一般公開をしています。
一般公開は、【施設見学とイベントを楽しむ会】と【藤棚を観る会】の2つです。いずれも入場は無料です。私は藤を見に行ったのですが、ついでに施設見学やイベントにも参加してきました。
【施設見学とイベントを楽しむ会】の方は2004年4月24日(土)25日(日)の2日間です。「施設見学」「樹木あてクイズ」「スタンプラリー」などがありました。
【藤棚を観る会】は4月24日(土)〜27日(火)の4日間の開催です。
37本の藤の花があり、120mの藤の回廊があります。
鳥羽水環境保全センターへ行く前に城南宮へ行ってきました。城南宮の藤を見逃しては行けないと思ってのことでした。しかし受付の女性は「今年は藤はもう一つです。そのかわりつつじがきれいです」とのことでした。そういえば、この保全センターの藤を観た途端「もっと長かった」と言っている人がいました。今年の藤は不作なのでしょうか。藤森神社の藤ももう一つでした。私は見事な藤棚だと思いました。
2004・4・25
これから書くことは見学会でいただいたパンフレット4種類を見ながら作ります。その4種類とは
1,「鳥羽水環境保全センター施設見学について」(京都市上下水道局)
2,「京都の下水道〜水は自然のまわりもの〜」22頁(京都市上下水道局)第12版平成16年4月発行
3,「水は自然のまわりもの京都の下水道」(京都市上下水道局)平成16年4月発行
4,「京石(みやこいし)」(京都市上下水道局)
です。
水道局と下水道局が統合されて京都市上下水道局になったそうです。そして今まで鳥羽処理場と言ってきたこの施設は、鳥羽水環境保全センターという名前に変わりました。平成16年4月からですから変わってほやほやです。
京都市の下水処理は4カ所で行われています。
1,鳥羽水環境保全センター
2,吉祥院水環境保全センター
3,伏見水環境保全センター
4,石田水環境保全センター
その4つの水環境保全センターの中でもこの鳥羽水環境保全センターが最大です。
鳥羽水環境保全センターの概要
・昭和14年運転開始。64年間休むことなく24時間稼働中。
・面積50ha。西日本1位(全国では4位)甲子園球場の約13倍。
・汚水処理能力1日約100万立方メートル。(25mプール3000個分)
・京都市の人口の約55%、面積の約55%の区域の汚水を処理している。
・放流河川は、東高瀬川と桂川。
・施設は、“水処理施設”と“汚泥処理施設”に分かれている。
・水処理施設では、汚水に生息する『微生物』の働きを利用して、汚水をきれいな水と汚泥(どろ)に分ける作業を行っている。
・近年、アンモニア性窒素(匂いのもと)が処理できる『高度処理施設』も稼働している。
・汚泥施設では、汚泥を減量・無害化するため、脱水・焼却して『灰』にする。灰は埋め立て処分するが、一部は「熔融化処理」により『石材化』するなどして、汚泥を資源として再利用する試みが進められている。
施設見学@沈砂池
この沈砂池に入る前にスクリーンを通過させて大きなゴミを除くようです。この池は匂いがしますし、ゴミも浮いています。
施設見学Aポンプ場
施設見学B最初沈殿池
時間をかけて、小さなゴミや泥を沈殿させる。要するに上澄みを次の過程へ送ると言うことのようです。
施設見学C反応タンク
空気を混ぜ、微生物を含んだ「活性汚泥」の役割で溶け込んだものや小さなゴミを処理します。
施設見学D最終沈殿池
汚れを分解する微生物を沈殿させて上澄水を放流します。沈殿した微生物はC反応タンクへ返します。
最終沈殿池のあとに『塩素接触タンク』で次亜塩素酸ソーダを加えて消毒して川へ放流することになります。
【鳥羽水環境保全センターの風景】
汚泥処理施設へは行けませんでした。たぶん下の写真左右の複雑な建物だろうと思います。
右機械棟・左送風棟 | ||
【京石】下水汚泥溶融石材化スラグ
下の写真が「京石」です。「たくさん穴のあいている石炭みたいな石」といったところでしょうか。
アスファルト用骨材・コンクリート用骨材・外装壁タイル原料・舗装用焼成ブロック原料・透明性インターロッキングブロック用骨材として使われていると言うことです。
1,下水道のやくわり
私は下水道と水洗便所を一体のものと考えてきました。下水が出来たから水洗にというのでお金を積み立てたりして一気に水洗便所に変わったものですからそういう印象が強いのだと思います。しかし下水道の役割は水洗化だけではないのです。
@生活環境をよくします
水洗トイレが使えるようになります。また汚水が下水道に流れることになり、ドブがなくなるので、街がきれいになり、暮らしが快適になります。
(そういえば、下水道がないときは「便所のくみ取り」がありましたし、「ドブそうじ」を町内でやってました。悪臭・カやハエ・ネズミなど病原体を運ぶ虫や動物たちの発生源でもありました。伝染病の発生を防ぐということも下水道の大きな役割です)
A川や海を守ります
家庭や工場から出る汚水は水環境保全センターに集められ、きれいに処理してから川に放流されます。こうすることで、川や海を汚さないようにし、美しい自然を守っています。
(工場排水や生活排水を川に直接流すことが公害を引き起こします。川下の大阪や兵庫の水確保の為にも下水道は大切です)
B浸水などから街を守ります
降った雨を下水道に取り込み、すみやかに川や海に流したり、地中に貯留や浸透させることにより、浸水から街を守ります。
(こういう役割もしているのですね。そういえば鉄砲水被害とか台風の為に川が氾濫したとかいうニュースは少なくなっているように思います。全てが下水道のおかげではなくて治水事業の進展に伴うものではあるのでしょうけど)
C汚泥などの資源を有効利用できます
汚泥を燃やしてできた灰は、建設資材の原料として使えます。また高度処理された水や熱エネルギーなど下水道は多くの利用可能な資源を持っています。
(これははじめて知りました。下水道もリサイクルを考える時代になっているのだなと思いました)
2,下水道を大切に使いましょう
1,台所からゴミを流さないようにしましょう。
2,ディスポーザーの設置は、原則禁止になっています。(ただし、下水道管理者が認めた一部のシス テムは設置可能)
3,水に溶けにくいティッシュや紙おむつは流さないでください。
4,油や薬品は流さないようにしましょう。
5,たばこの吸い殻やゴミを溝やますに捨てないようにしましょう。
この5つのことが書かれていました。私たちが気をつけなければならないことだなと思いました。
3,汚水処理にかかる経費
汚水1立方メートルを処理するのにかかる経費…134.14円
134.14円の内訳
・借入金の元金・利息の返済…88.02円
・維持と管理にかかる経費等…47.12円
(平成14年度決算)
4,下水道汚水排水量の決め方
水道料金はメーターがついていて各家庭で使用量が分かるようになっていることは知っていましたが、果たして下水道の汚水排水量はどうやって決めるのかは知らなかったのですが、やっと分かりました。簡単なことで、上水道使用量をそのまま下水道使用量と見なしているのだそうです。なるほど。
5,下水道使用料と下水道財政
下水道使用料は2ヶ月に1回水道料金と一緒に支払うようになっています。20立方メートルまで1400円(これが基本使用料)です。それを上回って使用した場合たくさん使うほど1立方メートル当たりの使用料がスライド式に高くなっていきます。119円〜218円まで。ちなみに公衆浴場業の場合は、基本料金は一緒ですが、その後の使用料が1立方メートル当たり16円になっているそうです。
下水道財政
収入は一般会計からの繰入金264億円と下水道使用料279億円
支出は維持管理費155億円減価償却費188億円企業債利息199億円消費税11億円だそうです。(平成16年度予算)
自然現象である雨水の排除に必要な経費は公費で、各家庭や工場から排出される汚水処理に必要な経費は下水道使用料でまかなわれるそうです。
下水道事業も借金返済のために苦しいのだなと言うことが分かりました。
もう一つ思ったのは、工場の下水道使用料金は一般家庭の下水道使用料金と同じなのでしょうか。この説明はありませんでした。銭湯だけ書いてあったのですが、銭湯よりも大工場などはどうするのかなと思いました。一般家庭並みに払うとしたら膨大な額になりそうです。おそらく優遇措置がとられているのではないかと思うのですがどうなのでしょうか。
A、雨水整備
B、高度処理
C、合流式下水道の改善
D、改築・再構築と地震対策
E、資源・施設の多目的利用
私はこういう事に対して知識がないのでトンチンカンなことを書くことになると思いますが、正直に思ったことを書いてみます。
「これからの下水道」ということで、この5つが書かれています。と言うことはまだまだ改善を加えないことには、水環境の保全はできないと言うことを言っているようです。
『雨水整備』では都市化の進展や集中豪雨に対応する為に雨水幹線や貯留施設の整備が必要とのことです。
『高度処理』では放流水質の一層の向上が必要だと書いています。私が施設見学をして一番思ったことは、沈殿が主流の下水処理なんだなということでした。そして微生物の活性汚泥で水を美しくするということですが、果たしてそれでも処理できない溶け込んでいる物質などはどうするのだろうと言うことでした。最終段階で次亜塩素酸ソーダ処理をするということですが、この次亜塩素酸ソーダは安全なのかなとも思いました。学校のプール清掃時や滅菌にこの次亜塩素酸ソーダは活躍するのですが、かなりコワイ薬だと私は思ってます。色物の服などにかかるといっぺんに脱色します。
吉祥院ではオゾン処理法で水が美しくなるとのこと、伏見では嫌気好気法を採用しているそうです。これは、有機物除去のほか、りん除去を目的としているようです。石田は臭気対策に配慮した半地下式密閉構造だそうです。
ということは、京都市の4つの水環境保全センターの優れたところを全て取り入れたら現在考えられる下水処理のかなりな水準に達すると言うことでしょうか。伏見の下水だけに有機物やリンが含まれているわけではないでしょうから。
『合流式下水道の改善』というのは雨天時に雨量が一定量を超えると未処理の下水が河川に放流されるようになっていることを改善するということだそうです。分流式下水道(雨水と家庭工場汚水を分離するやり方)の方がいいわけですが、現在約40%は合流式だそうです。
『改築・再構築と地震対策』これは、戦前に布設された管きょが、260kmあるそうで、耐用年数(50年)を越えるものがあるのです。またポンプ場や水環境保全センターそのものも改築・更新が必要になると言うことです。
『資源・施設の多目的利用』内陸型都市である京都市は埋め立て処分地の確保が難しいため、汚泥の減量化と有効化やリサイクルを考えざるを得ません。また下水処理水は豊富で水質が安定しているので、修景用水などへの有効利用が図られているようです。
問題が山積していると言うことなのだなということはよく分かります。
2004・5・2