京都のツバキ

ツバキと日本人とのつきあいは相当古く、縄文時代から。
とりわけ桃山時代から江戸時代にかけてたくさんの品種が作られました。茶の湯や禅寺との関係が深いようです。秀吉が愛したツバキとか織田有楽斎が・・・など由緒も相当あります。
京都のツバキの名所を訪ね、ツバキのこと調べながらこのページ作ってみます。

(1)霊鑑寺
(左京区哲学の道)

 京都の椿を語る時にこのお寺は欠かすことは出来ませんが、特別拝観の時しか中へ入れません。4月と11月にチャンスがあるのですが今年の4月は行けませんでした。今日(11月23日)紅葉と弥勒石仏を見に出かけました。そしたら八重侘助が咲いていました。さっそく紹介することにします。
 このお寺には天然記念物「日光椿」(京都市指定)他パンフによりますと35種の椿が植えられているようです。

(2)椿寺(地蔵院
(北区大将軍川端町)

ここは一条通に面しています。西大路通りからすぐ東です。椿寺の名前は「五色八重散椿」の名品があるからです。この椿は『加藤清正が、朝鮮から持ち帰り、豊臣秀吉に献上したものを、秀吉が北野大茶会の縁から、当院に献上したもので、白、赤、ピンク、絞りなどに咲分け、花びらが一片一片散るのが特徴。毎年三月末に咲き出し、四月末頃まで咲く。樹齢400年の一世は、昭和五十八年春に、惜しくも枯れ、現在は、樹齢約百余年の二世が、本堂前に咲いている』(「椿寺のいわれ」より)という歴史あるものです。それにしても加藤清正は、何でもかんでも朝鮮から持って帰ってきたことになっている人物です。
椿寺には他の椿も咲いています。天野利兵衛の墓から中庭が見えるのですが、そこにもたくさんの散椿が見えます。山門入ってすぐに赤色の見事な椿がありました。
地蔵院のお地蔵様です。地蔵堂にもとの本尊だった『高さ六尺、乾漆の立像で安産守護の地蔵として霊験あらたかな鍬形地蔵(木納屋の地蔵)』(「椿寺のいわれ」より)さんがおられる。そのお堂の東側にもう一つお堂があって石のお地蔵さんがおられる。このお地蔵さん顔から上が削られてない。随分立派なお地蔵さんだったと思われるが、お気の毒なことである。

(3)宝鏡寺
(上京区堀川寺ノ内東入)

宝鏡寺は皇女が歴代となるところから百々御所や門跡と言われる臨済宗単立寺院です。春と秋に人形展を開催されます。京人形中心に人形の新古の名品が見られます。山門入ってすぐに人形塚があります。この塚は人形を弔い供養するもので、武者小路実篤の碑文があります。
またこの寺は「村娘」「熊谷」「月光」などのツバキの名品があるお寺としても有名です。
この花瓶に活けられているのは、「月光…花の中が白いツバキ」「熊谷…大きな方のツバキ」と「貝母(ばいも)ゆり」です。
村娘が見事に咲いていました。ガラス戸越しの村娘もなかなか風情があります。

(4)花尻の森

京都でこのツバキの名所を紹介していないものはおそらくないでしょう。大原の入り口にあるこの花尻の森はヤブツバキの群生が見られます。江文神社と梅宮神社の御旅所があり、注連縄をした大木が社の後ろにあります。落ちたツバキが絨毯のようになっている写真を見るのですが、今日はそこそこ落ちている状態でした。
村の娘おつうと若狭領主との物語が説明板に書いてありました。ここは朽木村から若狭へ通じる鯖街道の道でもあります。
品種の妙を訪ねるのも良いですが、ヤブツバキの見事さは、ここが最高のようです。

この花尻の森に男前の阿弥陀さんが祀られてました。

(5)平岡八幡宮のツバキ

平岡八幡宮は宇多野福王子から高雄へ行く道にある神社です。梅ヶ畑という地名です。
椿の小道というのが、参道から本殿までの脇道に造られています。幾種類もの椿が植えられていました。この小道もいいのですが、この八幡宮の椿は本殿の周りの自然に生えているような白と赤のヤブツバキのようです。白い椿は「白玉椿」という名前がつけられていました。この神社は本殿の天井に花の絵が描かれている(花の天井)そうでそれを公開されるそうです。また、「椿を愛でる会」も3月4月11日まで行われているようです。

平岡八幡宮の絵馬は椿の絵が描かれています。また椿の土鈴も売られていました

(6)植物園のツバキPart1

紅侘助が見事にたくさん咲いていました。

月光 京唐子 数寄屋

(7)大聖寺の塀越しのヤブツバキ
(上京区御所八幡町)

同志社大学と烏丸通りを挟んで西にある臨済宗系単立の門跡寺院。このあたりは足利義満の「花の御所」があったところ。庭は一般公開されていないようです。もう5時をまわっていたこともあって確かめませんでした。立派な唐破風の車寄せがあるお寺です。尼寺にツバキ…なんか縁がありそうです。

(8)梅宮大社のツバキ
(右京区梅津フケノ川町30)

梅宮大社へは梅を見に行ったのですがツバキもなかなかのものでした。神苑は四季折々の花が咲くように工夫してあります。種類も色々あります。社殿の横にヤブツバキが咲いています。

(9)京都御苑近衛邸跡ヤブツバキ

近衛邸跡は京都御苑の北西にあります。糸桜で有名です。その池の周りにヤブツバキがたくさんあります。最近読んだ本「公園を通っていきませんかー京都御苑の四季ー」(伊藤訓行・平成8年・淡交社)によると御苑内の池の水は、今は井戸を掘ってまかなっているのだそうですが、以前は琵琶湖疏水を利用(御所水道)していたのだそうです。近衛邸の池は御所水道が遮断されたとき完全に干上がってしまい池の遺構が雑草で覆われ荒廃してしまいました。「覆水盆に返らず」だそうです。

(10)浄安寺のツバキ
(京都府久御山町佐山)

今日は京都市を離れました。
久御山町佐山にあるこの浄安寺の近くには曹洞宗はじめいくつかのお寺があります。場所は宇治市大久保と伏見区淀を結ぶ道の途中です。この辺りのことについては不案内なのですが、浄安寺平安時代からある古刹だそうです。桃山時代に浄土宗のお寺になったそうです。快慶作と伝わる阿弥陀如来像、定朝の父康尚作という観音菩薩像、平安末の地蔵菩薩像などがあります。
この浄安寺には何と224種類のツバキがあるそうです。お寺で一覧表をプリントしておられました。
私がお寺を訪ねたとき、子どもが本堂前で遊んでいました。お寺の子どもかなと思ったら違って、習字を習いに来ている子どもでした。しばらくお寺を覗いていたら「先生」が顔を見せられたので、思い切って「ツバキを拝観したいのですが」と言いますと快く見せてくださいました。
本堂には、一輪挿しに各種椿が活けられていました。
「3月のお彼岸頃が一番きれいです」とおっしゃっていました。まだ、これからだそうですが、それでもたくさんの種類がきれいに咲いていました。
浄安寺山門 浄安寺本堂内一輪挿し
お寺の入り口で今を盛りに咲いている散椿
緋牡丹 散椿 流し雛
宝塚 窓の月 一輪挿しのツバキ(不明)

(11)府立植物園Part2

散姫 日本の誉
菊月 白唐子

(12)大仙院のツバキ
(北区紫野大徳寺町)

大徳寺の塔頭の中で「拝観謝絶」でないお寺は4つです。その中の一つに大仙院があります。このお寺の住持は一時よくマスコミにも登場されていました。最近見ないなあと思ってたのですが今日訪ねたらおられました。お元気そうで自著にサインをしておられました。色々参観者と楽しそうに話しておられました。今から30年ぐらい前には大仙院前で説法しておられる姿がTVで紹介されることがありました。その話がおもしろかった記憶があります。このお寺の枯山水はたくさんの石が使われています。その須弥山に当たるところに何本かの梅がありました。紅唐子・白侘助など4種類ぐらいあったと思います。

(13)妙蓮寺椿
(上京区堀川寺之内西すぐ)

木のすぐ横に説明板がありました。早咲きの椿で、室町時代から有名な椿だったそうです。おもしろい句が書いてありました。この種の椿はみんなこの妙蓮寺の椿の檀家だという意味の句でした。それだけ色々なところでこの椿の接ぎ木が行われてということのようです。妙蓮寺椿というのにも何種類かあるようです。府立植物園にもありました。檀家が。

(14)大豊神社
(哲学の道)

ここは東山三十六峰の一つ椿の峰という山の麓にある神社です。大文字山のすぐ南にある峰です。この椿の峰からの御神水がありました。この神社にたくさんの種類のツバキがあります。おもしろいのはここの神社の狛犬ではない狛ネズミ・狛猿・狛鳶です。
仙人 不老門
狛ネズミ 狛ネズミ 狛トビ 狛サル

(15)高桐院(大徳寺塔頭)京の銘椿「雪中花」
京都市北区紫野大徳寺町73−1・市バス建勲神社前下車北へ1丁

 高桐院は1601年(慶長6)に細川幽斎の長子細川忠興三斎によって建立された大徳寺の塔頭。三斎の正室は細川ガラシャで明智光秀の息女。三斎は利休七哲の一人で、茶道の奥義を究め歌道をたしなむ文武両道の人。
 庭園は四季折々美しく、庭の「つくばい」は朝鮮の王城の礎石を加藤清正が持ち帰ったものとか。三斎ガラシァの墓所は生前愛好した石灯籠を墓石に当てている。
 細川歴代の墓に「京の銘椿・雪中花」という説明板の下がった椿の木があった。

(16)龍安寺侘助椿

京都市右京区竜安寺御陵下町13
京福電鉄 竜安寺道

 龍安寺が、四季折々の花を境内のあちこちに咲かせておられます。ヤブツバキが苔むした庭に落ちていて落ち着いた美しさを見せています。
 このお寺の椿と言えばこの侘助です。説明板には加藤清正が朝鮮から持って帰ってきたという説明があります。そしてそれを秀吉が賞賛したそうです。赤と白のまだら模様の椿です。2004・3・31

龍安寺と言えば石庭。そして「吾唯足知」(われただたるをしる)という「つくばい」が有名です。

(17)等持院有楽椿

京都市北区等持院北町63
京福電鉄北野線等持院から徒歩10分

 「有楽椿」というのは、「胡蝶侘助」という名前が通称だそうです。植物園の「紅侘助」と書いてあったものと同じようです。この等持院の有楽椿は樹高十数m、根元の幹周「100p」地上85cmで三つに分かれていて、現存する有楽椿最大樹だそうです。織田有楽の時代秀吉が秀頼に寺を再興させたときに庭園の修復とともに植えたものと伝えられるもので四百有余年の歴史を誇る椿とか。
等持院は足利将軍家歴代の菩提寺。夢窓国師作の庭園。足利尊氏の墓、足利歴代の将軍像などがある。
三門 関牧翁筆祖師像 西の庭 尊氏墓
尊氏像(初代) 義満像(3代) 義政像(8代) 義昭像(15代)

(18)府立植物園Part3

4000平方メートルのつばき園に250種のツバキが見本形式に植栽されています。私のようなにわか勉強をしたいものには良い場所です。
ヤブツバキ
赤侘助 白侘助 紅侘助 柳葉侘助
紅唐子 乙女 菊冬至 雪中花

(19)城南宮

ヤブツバキ 蝦夷錦 白侘助
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