陽泉寺来迎三尊石仏
(福島県福島市下鳥渡)

 福島は大分と並んで磨崖仏がたくさんある県だそうです。福島市内へ行くチャンスがありました。ぜひ見たい石仏がありました。それが、この陽泉寺の来迎三尊仏(下鳥渡供養石塔)でした。この石仏のことを知ったのは久野健「石仏」の写真を見た時でした。
 そこには下のような説明がありました。
 「『陽泉寺来迎三尊石仏』(鎌倉時代・正嘉2(1258)年・福島市)石碑に来迎三尊を薄肉彫にした遺品。極楽浄土に死者をみちびくため、阿弥陀如来と観音・勢至が天より雲にのり来迎してくる様をあらわす。」とありました。
 三尊が雲にのって迎えに来ています。真ん中では、阿弥陀さんが来迎印を結びながら顔を左に傾けて優しいまなざしを向けており、光背の後光が阿弥陀如来のありがたさを強調しています。向かって右には観音菩薩が死者の魂を乗せるための蓮台を捧げて腰を曲げています。左には勢至菩薩が胸の辺りで手をクロスさせながら従っています。雲の表現も見事ですし、よくこんないい状態で残っているなと感心しました。
 JR福島駅から福島交通バスにのって「三王下」駅下車、徒歩10分で陽泉寺に着きました。陽泉寺はバスが約二時間に一本という辺鄙な場所にありました。バスに乗っている時間は20分ぐらいなのですが。何しろ交通の便が悪いのです。9時過ぎにバスに乗ったら9時25分には「三王下」に着いていました。さて、帰りのバスを調べたら、何と9時54分に来るのです。その後は11時半ぐらいです。私は何としても30分でここへ戻ってこなければならないなと思いました。車で行ってたらこんなこと思わなかったでしょうけど。ちなみに東北自動車道「福島西IC」からは近そうでした。
 まず、時間がない上に陽泉寺のどこにあるかが分からないので庫裏でお尋ねすることにしました。「京都から来たのです…」と申しましたら、竹藪にある来迎三尊の場所を教えてくださいました。「写真を撮りたい」旨を申しましたら、「扉を開けなくても、撮れますか」と訪ねられたのですが、どういう状態なのか分からずとりあえずその場所へ行くことにしました。上のような最近立てられたお堂の中におられました。残念ながら写真を諦めざるを得ませんでした。それでも何とかならないだろうかとあがいて撮ったのが下の写真です。残念!私には時間がありませんでした。でも私の脳裏にはしっかり像が結ばれました。期待に違わない来迎三尊でした。

2006・7・30(日)撮影
2006・8・5(土)作成

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