京都大原の石仏巡り

 「京都大原三千院 恋に疲れた女が ひとり 結城の紬に塩瀬の帯が 影を落とした 石畳 京都大原三千院 恋に疲れた女が ひとり」私はこの『女ひとり』で大原という場所を意識しました。大原へ行ったら「恋に疲れた女が ひとり」「結城の紬に塩瀬の帯」姿で「石畳」に『影を落とし」て立っているのに出会える!そんな女はいません。残念ながら。しかし上手に作詞するものです。これも有名な話ですが昔タクシーで京都駅から大原まで「三千円」だったそうで、「京都大原三千円」だそうです。
 大原三千院へはバス停からかなりの距離がありますがズラーーッとおみやげ物店が並びます。ここは観光地そのものですが、その他の大原はひなびた山の中の集落です。ここの名産品に柴漬けがありますが、それにつかう紫蘇は夏です。そして彼岸花・コスモスから紅葉に続く秋も風情がありますし冬の雪景色もなかなかです。要するに四季折々美しい里です。
 京都市の一番東の道白川通り『花園橋』から八瀬そして大原へ向かいます。この道は途中峠から朽木さらに小浜・敦賀につながる歴史街道です。「若狭街道」「敦賀街道」「鯖街道」「途中越え」様々な呼び名がある街道です。
 では、「花園橋」から順に大原までの間にある石仏紹介を始めましょう。

(1)上高野十三仏
左京区上高野川原町・京都バス三宅八幡下車東100m

歴史街道拡幅工事で掘り出されました。花崗岩で1mあまり。京都ではあまり発達しなかった十三仏の珍しい例だそうです。普通十三諸尊が彫られるそうですが、これは阿弥陀如来が十三体彫ってあります。

(2)八瀬矢負坂地蔵
左京区八瀬天満町・京都バスふるさと前下車すぐ

旧道を「八瀬のかまぶろ」のほうへ行くと八瀬天満宮の鳥居があります。その鳥居の右にたくさんの石仏や板碑群(鎌倉から室町時代のもの)に囲まれるように祀られています。
鎌倉後期の作。高さ約1.5mの花崗岩。このあたりに寺院があったことが察せられるとのことです。

(3)戸寺町阿弥陀石仏
左京区大原戸寺町・京都バス花尻橋下車すぐ

 「京都のツバキ」で紹介している花尻の森の男前の石仏はやっぱり知る人ぞ知る石仏でした。私の目もまんざらではないなとちょっと得意になりました。約1mの花崗岩に像高68cmの阿弥陀石仏。背負う二重光背も欠損なくこの石仏は鎌倉中期の優品だそうです。京都にある阿弥陀石仏中でも格調の高さで代表的な阿弥陀仏であろうとのことです。花尻の森は江文神社御旅所のあるところです。実際の江文神社はここから2kmほどの山中にあるそうで、その神宮寺である江文寺(比叡山の僧侶の参禅所)が平安末に創立されていておそらくその遺物がこの石仏ではないかと言われているようです。

(4)大原阿弥陀石仏
左京区大原勝林院町・京都バス大原バス停から東1km

大原三千院の中にこの石仏はおられました。花崗岩で高さ2.25m幅1.8mの無地の二重光背を作り、高さ30cmの蓮華座に結跏趺坐する像高1.7mの定印阿弥陀像。京都市内最大の石仏。鎌倉中期をくだらない時代の作だそうです。一石石仏の優美さでは、その極限を示した優品。

(5)勝林院石造宝篋印塔

勝林院は三千院の門前をさらに北にあります。このお寺は大原魚山流声明の根本道場として建立されました。また法然上人の大原問答(浄土の宗義を論談)でも有名です。お寺の前の橋を渡ると極楽浄土という設定になっています。このお寺の境内にある宝篋印塔は鎌倉時代末の名品で重要文化財です。

(6)古知谷阿弥陀寺五智如来
左京区大原古知平町

私は一度このお寺に行ってみたかったのですがやっと実現しました。紅葉の季節の美しさで名高いお寺です。石廟というものがありました。この寺の開基者である木食上人弾誓は石龕に生きながら入り「ミイラ仏」になられたそうでその「ミイラ仏」を現在は石棺に納めこの岩窟に祀られているそうです。

2004・5・15

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