嵯峨野石仏巡り2

(1)嵯峨油掛地蔵
右京区嵯峨天龍寺油掛町

 伏見にも油掛地蔵がありますが、諸願成就のために油をかけるという特異な風習がある地蔵尊です。京福電鉄嵐山線「鹿王院駅」下車北へJRを越え、右にしばらく歩くと油掛地蔵尊のお堂に着きます。
この地蔵と言われている石仏は、実は地蔵ではなくて定印を結んだ阿弥陀如来であることがはっきりしました。昭和51年のことだそうです。厚く固まった油をそぎ落とされたところ、「願主平重行」という文字や「延慶三…」(1310)などの文字も発見されたそうです。高さ1.7m花崗岩製。頭部左右頭光面に観音の種子「サ」勢至の種子「サク」を刻んだ阿弥陀三尊です。
 今も油がかけられ続けられています。杓と油が用意されていて誰でもかけて拝めるようになっていました。造立年代がはっきりしている石仏は京都に3例です。石像寺阿弥陀仏(洛中2)と善導寺釈迦(洛中1)です。これらは重要美術品に指定されています。この嵯峨の油掛地蔵も指定を受けてもおかしくない石仏だと思うのですが、一方で信仰の対象でもあるため油をかけ続けるということになっているのだと思われます。

(2)清涼寺の石仏
右京区嵯峨釈迦堂藤の木町

 清涼寺は嵯峨野巡りの分岐点になるお寺です。JR・京福・阪急などで嵐山駅や嵯峨駅に着きますと、すぐのところに渡月橋や天龍寺があります。そこから北に向かうとその突き当たりに清涼寺があります。さて、これから西へ向かって化野念仏寺の方へ向かうか、東へ向かって大覚寺(大沢池)や広沢池へ向かうか迷います。
 清涼寺は嵯峨釈迦堂と言われています。これは本堂に釈迦如来像があるからです。この釈迦如来像国宝です。清涼寺式という名がつく有名な釈迦如来像です。各地に模刻品があります。釈迦のスリムな体にピッタリフィットした衣服とその衣紋表現。37歳の時の釈迦の生身表現であるといいます。三国伝来(インド・中国・日本)の尊像として拝せられてきました。
 東大寺の「然上人が寛和元年(985)中国で模刻したこの像を持ち帰られたとのことです。
 この本堂に興味深い厨子がありました。江戸時代にこの釈迦如来像を持って全国を勧請してまわった時の厨子だというのです。京都大阪はもちろん北は江戸から北陸九州までまわりその回数は40回を越えたとか。これはすごいことです。お釈迦さんが出張されるのですから、それを拝したい老若男女が多数馳せ参じたものと思われます。そのせいかどうか、このお釈迦様の頬は色がはげています。触らせたのでしょうか。木像なのですが、少し赤っぽい銅製のような感じがします。とにかく人気のある尊像だったのでしょう。だからこそ、各地に模刻品があるのだと思います。 
 もう一つこの釈迦如来の興味深い話。
 昭和28年この像の胎内から絹製の五臓六腑等が発見されました。模刻された時に尼僧によってこの五臓六腑が施入されたというのです。ということはこの時代の中国の人体の構造の知識が分かると言うことになるのです。またレントゲン写真をとったところ額には銀製の一仏が、目に黒水晶、耳には水晶が入っていたというのです。この胎内から発見されたものすべて国宝です。
 
(ア)弥勒多宝石仏
 清涼寺山門入ってすぐ右に高さ2.1mの鎌倉時代の弥勒多宝石仏があります。
 この石仏裏と表があります。どちらが表でどちらが裏か分かりませんが、とりあえず弥勒仏の方を表とします。
 表の方は天蓋を設け蓮華座に坐す像高82cmの如来像です。如来像は右手胸前で施無畏印左手は膝前に置いて指先が蓮弁につく触地印。これは釈迦如来の降魔成道(悪魔を屈服させ悟りを開くこと)の印相だそうですが、裏面の宝塔内に釈迦如来があり、弥勒信仰の盛んな時代と言うことから弥勒仏と考えられているようです。
 
裏には宝塔が彫られ扉が開かれ二体の仏が並んでいます。二仏は茎のある蓮華座に坐しています。これは釈迦如来が霊鷲山で法華経を説いたおり、地中より宝塔が湧出し、塔の中にいた多宝如来が釈迦如来の法華讃講をほめ、塔内に招き入れて迎え半座を譲ったという伝説を表しているそうです。

(イ)清涼寺四面石仏

これは新しい石仏だと思います。舟形光背に如来が四面に肉厚彫りしてあります。摩耗していないし表情もしっかりしています。石塔の塔身部分に当たるものです。かなり大きいものだったと思われます。弥勒多宝石仏のすぐ近くにあります。

(ウ)納骨堂前の釈迦如来像

本堂から庫裏へ行く途中に納骨堂があります。その前に時代はよく分からないのですが釈迦如来立像がありました。微笑んでおられるような釈迦如来です。庫裏の庭は小堀遠州作とか。

(エ)清涼寺開山石幢

山門の左側にある開山「然上人の墓と言われている石幢です。八角形です。八面に如来形の石仏が彫られているというのですが、摩滅がひどく分かりかねます。鎌倉時代のものと思われます。

「京都東山石仏巡り1(左京区篇)」へ   「京都東山石仏巡り2(東山区篇)」へ
「京都石仏巡り白沙村荘」へ   「伏見の石仏巡り」へ  「京都洛中石仏巡り」へ
「京都洛中石仏巡り2」へ  「比叡山石仏巡り」へ  「嵯峨野石仏巡り」へ
 「京都大原の石仏巡り」へ

「京都石仏巡り」へ

  「笠置の磨崖仏」へ  「当尾の石仏巡り」へ  「HPへ戻る」