天狗さし
(天狗求めて鞍馬山)

あらすじ
 新しい商売を始めたいという男がj甚兵衛さんのところへ相談にやってくる。前から金儲けの話と言ってはあやしげなことを言ってくる、肝心なことを「どうすんねん」と聞くと、「さあ、それをあんたに相談に来た」と言う。
 でも今回はもう店を出す場所も確保したという。『天すき』をやるというのだ。「『天すき』って何や」と聞くと、『天狗のすき焼き』だという。珍しいから流行ると自信満々。「で、天狗はどうやって仕入れるつもりや」と言うと「さあ、それをあんたに相談に来た」と例のセリフ。
 天狗は鞍馬山だと決め込んでこの男大阪から鞍馬山へのりこんできて、奥の院の前で待つ。
 かわいそうなんは、中で修行していたお坊さん。明け方出てきたところを捕まえられ、縄でグルグル巻きにされて竹に下げられて京の町へ。 すると向こうから同じく竹をかたげた男がやってくる。この男まねをされたと勘違いして聞く。
「お前も天狗さしか」「いや、わしは五条の念仏ざしじゃ」
叡山鉄道『鞍馬』駅・近畿名駅100選
鞍馬寺本堂

鞍馬山の奥の院と天狗

鞍馬寺奥の院 鞍馬寺にあった天狗の絵馬

五条の念仏尺(ねんぶつざし)

 今やそういうものがあったのかどうかも分からない。が、米朝師(平成14年文化功労賞おめでとうございます)の本(「米朝ばなし」・講談社)によると、そういう物差しが実際に夷川の「万市」という道具屋さんのお店から出てきて米朝師のもとへ届けられたそうだ。それによると、その念仏尺を作ったところは高倉の万寿寺通りとか。そこへ、行って来ました。でもその念仏尺を作ってたというお店はもちろん見つかりませんでした。せめて、現状なりとと思い写真を撮ってきました。万寿寺通りは五条通の一筋北の通り。高倉通りは烏丸よりで河原町と烏丸の間の通り。
同じ鞍馬山が出てくる咄に『天狗裁き』がある。鞍馬山の案内はそちらの方が詳しい。

12,「京の茶漬け」へ