大丸屋騒動
(四条通を血刀下げて)

あらすじ

 伏見の大丸屋という酒問屋の跡取り息子(後の大丸屋宗兵衛)の嫁がお輿入れの時に「村正」という妖刀を持ってくる。この「村正」に次男坊宗三郎が惚れ込み兄から預かる。
 この次男坊の若旦那が、ひょんな事から祇園の芸者「おとき」に入れあげる。以心伝心相思相愛の仲になる。兄もこのおときを気に入って二人を添わせてやろうとする。おときを祇園から引かせて富永町に一軒家を持たせ三ヶ月の間に花嫁修業をさせることにする。若旦那には番頭の喜助をつけ出養生ということで木屋町三条で謹慎させ二人には会わないと言う約束をさせる。
 もうそれもわずかという夏の頃。若旦那は京の景色を見ているうちにおときに会いたくなり喜助の目をくらませて会いに行く。おときは兄との約束がありもう少しの辛抱だと家に上げない。番頭を脅すために持って出た妖刀「村正」で冗談半分におときを脅していると「村正」の鞘で叩いたつもりが鞘が割れて本当におときを斬ってしまう。そのあとは四条通を血刀下げた若旦那近づくものを斬りまくる。
 所司代から御用提灯持った捕り手が出て大捕物になる。たまたま京都に用事があった兄宗兵衛さんが気づき現場にかけつけ、突かれても斬られてもケガ一つせずに弟を召し捕ってしまう。「その方・・・血潮一つ流れぬが、どうしたことじゃ?」に「わたくしは・・・斬っても斬れん不死身の(伏見の)兄でございます
祇園甲部・お茶屋さが並ぶ。歴史的景観保存地域
四条通東・八坂神社・大晦日のおけら参りで有名

◇祇園富永町・・・おときが一軒家を持たせてもらったところ

富永町は四条通から一筋北側祇園乙部 盛塩が膝を崩して夜が更ける

◇木屋町三条上がる・・・宗三郎が小体(こてい)な家を見つけてもらったところ

三条木屋町交差点 三条木屋町交差点から北を望む 鴨川東岸から木屋町の川床を望む

◇あら、だん王の法林寺さん

若旦那「あの川向こうに白い塀が見えたあるやろ大屋根のある、あれ何やねん。」
喜助「あら、だん王の法林寺さんやおまへんか」
若旦那「・・・昼店がにぎやかなんやてなあ」

◇二人が見た東山の景色・・・現在

出てくる地名一覧・・・大日山・南禅寺・永観堂・蹴上・粟田宮・青連院知恩院・真葛原(まくずがはら)

◇あそこに見えたある五重塔が八坂の塔でんがな

法輪寺聖徳太子創建何度も火災に遭い現在の塔は室町時代のもの 八坂の塔近く日本最初の庚申堂

◇おときの居留守に使われた摩利支天さん

若旦那「へぇ?どこ行きよってん」
女中お松「あのぉ、お参りに・・・摩利支天(まりしてん)さん」
祇園甲部南にある建仁寺塔頭禅居庵 亥年生まれの守り本尊摩利支天

◇八坂神社と二軒茶屋

「四方の景色」というわらべうたがある。その中にもこの二軒茶屋が出てくる。「明日は祇園の二軒茶屋で琴や三味線囃子テンテン手まり歌」という歌詞である。よほど昔から有名な茶屋であったのだろう。私はずいぶん若い頃に一度だけ食事をした。高級な料理屋さんである。となりの茶店には残念ながら入ったことがない。
八坂神社正門下河原通に開く二軒茶屋は右 二軒茶屋中村楼

◇下河原通から石塀小路へ

お盆の時分、祇園の南、二軒茶屋と呼ばれました中村楼の前から下川原にかけて、切り子灯籠をずらっと並べまして“山猫”と呼ばれた腕利きの芸者連中が、そろいの衣装に黒繻子の帯を締めて「伊勢のようだ(山田)のひと踊り」と踊っているところへ抜き身を下げて現れ次々斬りつける。

◇伏見の酒蔵

この咄は実話をもとに作られたとの説もあるが、大丸屋という酒問屋があったのかどうか知らない。そこで伏見の月桂冠の酒蔵を紹介しておくことにする。もちろんこの落語との関係はない。
大蔵酒造記念館 大蔵酒造旧本社

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