田楽喰い
(神泉苑の門前)

□あらすじ  
 若い者が集まって一杯飲もうと言う話になる。しかし誰も先立つものがない。兄貴の家の前に酒樽(二斗樽)があったことを思い出してみんな兄貴におごってもらう作戦を立てる。何とか兄貴も「一杯飲め」と言ってくれて、無事酒にありつく。兄貴の家の横町の豆腐屋が田楽屋をやりだし、その開店祝いに『運回し』をして田楽を食べようと言う話になる。みんな頭をひねって『運回し』で田楽をゲットしていく。

□神泉苑とは

二条城の南、押小路通りと御池通の間に位置する。平安京造営に伴って作られた禁苑。御霊会や請雨法などが行われる霊場となる。歴代天皇の行幸があった。天皇、皇族、貴族による遊宴が行われた。
 「口合い小町」には小野小町が雨乞いの歌を詠んだことが出てくる。「ことわりや 日の本ならば照りもせめ さりとてはまた あめが下とは」
 

「先年、神泉苑の門前の薬店」・・・運回しで43本ゲット

『運回し』とは言葉遊びの一種で、この話の場合“ん”のつく言葉を言い合って、“ん”の字一字につき、田楽一本ゲットという遊び。
この遊びの中で何と一気に43本ゲットするやつがでてくる。
その男の言ったのは・・・。この男解説でもう一度言って86本持っていく。

さて、その男の言った事は・・・

男の言ったこと その解説
先年、神泉苑の門前の薬店、
玄関番人間半面半身、金看板銀看板、
金看板根本万金丹、銀看板根元反魂丹、
瓢箪看板、灸点
先年神泉苑の門前・・・あのな京都に神泉苑ちゅうとこがあるやろがな。あそこの門前を通ったら、薬屋があるのや。その薬店に、玄関番みたいにこの人間の半面半身のこんな木造があるやろ。半分体を断ち切って内臓やなんか見せた人形な、あれがこう玄関番みたいに置いてあるちゅうのや。金看板と銀看板があって、金看板のほうは根本万金丹と書いてあって、銀看板のほうには根元反魂丹と書いてある。別にひょうたん型の看板があって灸点、やいとの点やな、灸点おろしますと書いたある。

神泉苑の門前は学校。
残念ながら薬店は近くにもない。
神泉苑の池。

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