2004・11・20(土)撮影
2004・11・21(日)22(火)作成
柳生街道(滝坂の道)石仏巡りをしたのが8月の後半でした。柳生まで行かないことには終わらないなと思ってました。調べてみましたら円成寺にも途中の阪原にもおられるようですし、ゴールの柳生にも魅力的な石仏がおられるとのこと。これは秋紅葉の時にと思っておりました。
最初は柳生までバスで行って奈良へ戻ってこようと考えてました。
しかし…その距離にびびってあきらめました。
結局車で出かけました。
(1)あたや地蔵
柳生の北の入り口に位置するあたや地蔵です。あたや地蔵という名前ですが、大きな方の阿弥陀如来像と左下の地蔵像からなります。もともと阿弥陀さんが鎌倉末に彫られていたところに後にお地蔵さんが加えられたようです。
(2)ほうそう地蔵
こちらの方の地蔵さんは奈良から阪原を通って柳生に入る南の入り口にあります。
中央に錫杖を持つ地蔵立像。顔の部分がとれて「顔なし地蔵」であったのが最近土中から顔が出現し元通りに接着されました。以前この前方に小屋があったのが火災にあい石仏も損傷を受けました。地蔵像の両側に花瓶活けられた蓮華があるのは大和では珍しい作例です。石仏の右方に鎌倉末元応元年(1319)の銘を持っています。昔「疱瘡」は困った伝染病だっただろうと思います。お地蔵さんは困った庶民の味方、それを代表するような命名です。
左には顔が少し残っている小さい地蔵像。覆屋は最近造られたものです。このほうそう地蔵さんの彫られている石はかなり大きなもので、右側面には六地蔵さんが彫られています。
しかし何よりこのほうそう地蔵を有名にしているのは下の説明板にもある正長元年柳生徳政刻文が彫られていることです。
私は全く読めませんでしたが、杉田定一氏が大正14年に明らかにされたようです。「正長元年ヨリ/サキ者カンヘ四カン/カウニヲ井メアル/ヘカラス」と刻まれていること、そしてその意味は「正長元年より先は、神戸四箇郷(春日社領の大柳生・柳生・阪原・邑地)に負い目(負債)はない」の意味だそうです。徳政は借金棒引き宣言のことですから、この場合は春日神社に対してその神戸であった四箇郷が結束して正長元年から前に借金していたものをチャラにさせたということになります。柳生街道の奈良側の入り口に当たるこのこのほうそう地蔵の石に室町時代借金棒引き宣言を彫り刻んだのはだれでしょうか?またそれが大切に今まで残されてきたことに意味がありそうです。
(3)六地蔵磨崖仏
ほうそう地蔵からさらに柳生へほんの30mほど行ったところにある六地蔵磨崖仏です。
(4)柳生歴代墓地入り口の六地蔵
この墓地におもしろい形をした墓がありました。よっぽどお酒が好きな方だったのでしょうか。藩主の次男だそうです。酒樽とお猪口と徳利の組み合わせです。
柳生の里の紅葉事情
ちょっと石仏から離れて柳生の秋(紅葉)の紹介です。
芳徳禅寺(柳生家菩提寺)
柳生但馬守宗矩が父石舟斎の供養のために創建したお寺です。沢庵禅師の開基。この場所は柳生家のお城があった場所だそうで、柳生の里を一望できる山王台上にあります。ここの紅葉なかなかでした。人も少なくて紅葉独り占め状態でした。
これは何というのでしょうか?岩倉実相院の新緑が床に映えるのは「床緑」でした。これは「床紅葉」とでもいうのでしょうか。いやはやお見事でした。
つづいて柳生剣豪の里の名所案内です。
十兵衛杉 (落雷で枯れてます) |
旧柳生藩家老屋敷(小山田氏) (山岡荘八所有後奈良市に寄贈) |
実は、私は阪原下出橋の畔にあるという「阿弥陀磨崖仏」(来迎印・文和5年(1356)銘)と「六地蔵」(明応5年銘)を見たくて、阪原のJAの野菜売り場で伺いました。そしたら、この足痛地蔵さんを教えてくださいました。きっと阪原の方々には石仏といえばこの足痛地蔵さんのことなのだろうと想像しています。このお地蔵さんは天文5年(1536)銘で等身大の大きなお地蔵さんです。立派な地蔵堂に安置されていました。下出橋の2体の石仏は残念ながら通り過ぎたようです。残念。
左から地蔵座像・地蔵立像・阿弥陀如来座像です。右の阿弥陀座像には永禄元年(1558)の銘があります。本堂左手におられました。顔立ちのはっきりした三体でした。
円成寺は運慶の大日如来像(国宝)で有名です。私が学生時代に行った時は塔を開扉して住職が説明してくださいました。運慶の仏像の中でも最初期の仏像です。今はガラス越しに見せていただけます。「写真撮っても良いんですか」と伺ったら「ほんまはあかんのかもしれませんけど、みんな撮ったはります」という答え。わたしこういうお寺の姿勢大好きです。私も撮らせていただいたのですけどHPでの公開は差し控えます。
下の写真の山門は重文、春日堂・白山堂は国宝です。国宝・重文の仏像建物庭園…円成寺はなかなか素晴らしいお寺です。駐車場は30台ぐらい駐車できます。般若寺から柳生への道国道369号を東へ行くと行けます。近鉄奈良駅からバスが出てます。このバス音楽を流しながら走るローカルなもので味があります。
奈良市内へ帰ってきたらすっかり日が暮れていました。それで夕日観音だけ目当てに滝坂道を歩くことにしました。「紅葉と石仏」そういうテーマをもって出かけたのですが、夕日観音の周りには紅葉はなし。滝坂地蔵磨崖仏はもう少し先に紅葉シーズンを迎えそうでした。少し早い滝坂地蔵磨崖仏です。