朝日・夕日観音(滝坂道)

 柳生街道(滝坂道)は、大変魅力的な道です。奈良市高畑町から東へ春日山原生林沿いに円生寺を通って柳生までの道です。その途中に石仏が多く残っています。(詳しくは、柳生街道石仏巡り(滝坂道) ・柳生街道2(柳生・円成寺) ・ 夕日朝日観音の怪 などご覧下さい)
 滝坂道へは、今回で五回目です。石仏を尋ねても一度で終わることが多いのですが、ここは何度も足を運んでいます。きっと朝日観音と夕日観音が好きなんだろうと思います。同じ作者のようですから、鎌倉時代のこの作者と対話したいのしょう。
 第4回5+One写真展に、夕日観音の写真を出しました。前回行った時にちょっと不思議な体験をしたのですが(夕日朝日観音の怪)やっと夕日観音の写真が撮れたなと思いました。雨のあとでしたから、石が濡れていて複雑な色をしており表情も豊かな気がしました。三脚を持っていきましたので、シャッタースピードを落としても大丈夫でした。緑も映えて、夕日観音を景色の中で撮れたと満足したわけです。
 それで、自信満々写真を出したら、「夕日観音やったら、夕日に撮らなあかんやろ」と言う人がいました。その時に思ったのは、夕日観音の魅力は、必ずしも夕日の時かどうかは分からないが、紅葉の時期なら夕日の感じは出せるかも知れない…ということでした。
 それで、紅葉の時期にぜひ…と思った次第です。
 私の今回の写真です。

(1)夕日観音(滝坂阿弥陀磨崖仏)

 夕日観音は、街道から見えます。4〜50m先の岩壁に彫られており、遠くから手を合わせるという拝し方をされてきたものと思われます。
 今回初めてちょうど陽が当たっている状態を写すことができました。望遠を使って、昔の人が「夕日観音」と命名したくなった思いを表現できるかもしれないと思いシャッターを押してみました。2007年12月2日(日)午後1時過ぎです。南面しています。季節によってきっと陽の当たる時刻も変化するのでしょうが、夕日が当たる時間になるのは、さて春か夏か。 
 夕日観音は実は阿弥陀立像です。急な斜面を10mあまり登った場所にちょっとしたスペースがあって、そこで撮影可能です。上の写真で見ると左側に道があって、街道筋におられるように見えますが、私が撮影している場所は幅1mもないところです。7月末夕日朝日観音の怪撮影時と同じ場所から撮ってみました。比べてほしいのですが、私が期待していた紅葉は残念ながらありませんでした。陽が当たっていて夕日に映えているような感じは出せたかと思いますが、石の材質感は前の方が出ており、周囲の景色も前の方が色彩的にも美しいと思います。
 被写体に魅力を感じたら、色々な季節にそして色々な時間に足繁く通って一期一会の出会いの中でシャッターを押す…それがきっと写真撮影の魅力なのだろうと改めて思いました。私にとって、夕日観音はそういう魅力的な被写体です。
 今回の写真の中で、夕日観音のおられる場所を一番正確に表現できたのが、この写真です。こういう斜めに倒れてきそうな岩に彫られているのです。この角度、正確なことは分かりませんが、下の柳生街道から見上げた時にぴったりになっているのではないかと思います。計算して岩を動かしたのではありませんが、この石仏を彫った人物は、私のようにすぐ近くまで来て撮影するのではなく、下から拝するということを前提に彫っているのです。

(2)滝坂三体地蔵菩薩磨崖仏

 夕日観音すぐ近くにある「滝坂三体磨崖地蔵」を撮影しました。滝坂三体磨崖地蔵にも陽があったっていて、初めて表情を写すことができました。
 「滝坂地蔵磨崖仏」も大変魅力的なのですが、今年はその下にブッシュが生えていて良い写真になりそうもないので、撮影を断念しました。三脚をセットして撮ろうかとも思ったのですが、数年前に撮ったものを越えそうもないと判断しました。もう一つの理由は、前回7月末行った時に「ヤマビル」にさされたのは、この辺りだと思ったからです。

(3)朝日観音(滝坂弥勒磨崖仏)

 朝日観音は、どうもうまく撮れません。全部ピンぼけになります。薄暗い場所にあるので光量が足りないので、シャッター速度が遅くなり、手ぶれを起こすのです。それではと三脚を持っていって撮ってみましたが、ピントがなかなか合わないのです。難しい仏さんです。今回も顔にピントが合わしたつもりがお腹の辺りに合ってしまったようでウーン残念!
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