(六道珍皇寺の精霊迎え)
六道詣り(六道さん)は盂蘭盆に先立って8月7〜10日に行われる祖先崇拝の宗教行事です。
あいにくの雨でしたが、それでも大勢の方が六道珍皇寺にお詣りに来ておられました。五条通では陶器市が行われているのですが、こちらはさすがに店も雨を避けるので精一杯という感じでした。
六道珍皇寺は普段は静かなお寺ですが、六道さんの時はお寺にも活気があります。京都落語地図「幽霊飴」にもこの界隈のこと書きましたので参考にして下さい。
六道珍皇寺の精霊迎え(1)経木
参拝者は、本堂で経木に亡くなった人の俗名か、または戒名を僧侶に書いてもらって、本堂前の香炉に向かい、線香を上げます。その経木を煙でまぶして、自分にも煙をかけます。
六道珍皇寺の精霊迎え(2)水回向
そして、経木を境内西側にある地蔵堂の前ある水槽に浸すか、杓や高野槇で水をかけます。つまり水回向します。その経木をお地蔵様に供えます。
六道珍皇寺の精霊迎え(3)迎え鐘
それから、十万億土の地の果てまで響き渡るという「迎え鐘」を撞きながら故人の名を胸中に念じ、お精霊(しょうらい)さんを冥界から呼び寄せます。この鐘を撞くのに行列ができていました。
六道珍皇寺の精霊迎え(4)高野槇
門前や境内で売っている高野槇を買い求めて帰ります。冥界で鐘の音を聞いたお精霊さんは、この高野槇を伝って帰ってくるといわれているそうです。このお寺裏庭には、小野篁が夜毎、高野槇の穂先を伝って、冥府に通ったという井戸があります。高野槇は小野篁の伝説に因むものです。
この後は盂蘭盆で、施餓鬼をします。施餓鬼というのは食べられずに迷界で苦しむ祖先の霊に食物を供え苦しみを救い冥福を祈る行事です。お精霊さんが冥土へ旅立つ16日には送り火を焚きます。五山の送り火(京都五山の送り火・大文字送り火)は京都全体でする大規模な送り火です。
六道珍皇寺の小野篁立像と閻魔大王像(篁堂・閻魔堂)
六道詣りの時には、普段は見せていただけない寺宝を拝観することができます。
(1)小野篁立像
江戸時代作
飾太刀を腰に付け束帯姿の篁像。篁さんなかなか男前です。その両脇、右は獄卒像、左は善童子像。
(2)閻魔大王像
室町時代作
右側に大木禅師、左側に仏観禅師が祀られています。
六道珍皇寺薬師堂・薬師如来座像(藤原時代・重文)
六道珍皇寺十界地獄極楽図
江戸時代初期
冥界での地獄の責苦やそれからの救済の世界を教えています。
西福寺の絵解き
すぐ近くの西福寺では絵解きをしておられました。たくさんの六道図(掛図)があります。
六波羅蜜寺の精霊迎え
六波羅蜜寺の迎鐘は地下にあるそうです。それは祖先に直で届きそうです。
今年は空也上人の生誕1100年だそうです。「市聖(いちのひじり)」「阿弥陀聖」「市上人」と呼ばれた空也上人。11月には六波羅蜜寺でその記念行事が行われるようです。
京都四季折々 | HPへ戻る |