詩仙堂椿山茶花
(京都市左京区一乗寺門口町27・рO75−781−2954)

詩仙の間から嘯月楼
 詩仙堂丈山寺には有名な建物があるわけでも仏像があるわけでもありません。しかしいつ行っても大勢の観光客が訪ねています。京都の中でも人気のあるお寺の1つです。なぜかなと考えてみたのですが、ここには京都のお寺のイメージを代表するものが揃っているからかなと思います。庭を巡ると四季折々の花が咲いています。そして僧都(添水、一般的には鹿おどし)の音が響きます。室内から庭を拝見しながら鹿おどしの音を楽しむのです。
 四季の中でも、5月下旬のさつき、11月下旬の紅葉がとりわけ人気です。大寺院のお庭は“すごい”のですが、“くつろぎ”感はありません。しかしながらこのお寺には私が見つけた私だけの時間が流れるといった感じがあるのではないでしょうか。

(1)丈山椿

 この詩仙堂に石川丈山の名を冠した椿があるというので見せてもらいに行きました。お庭にそれは咲いていました。いつものことながら椿は美しく最高の状態で咲いているものを見つけるのが大変です。散椿系のものは3月頃が見頃になるのですが丈山椿は12月に咲いてくれていました。

(2)山茶花

 「京の名花・名木」(竹村俊則著・淡交社)にこのようにありました。
 「サザンカの名木として京都で一番有名なのは、左京区一乗寺の詩仙堂のものであろう。書院の庭先にあって高さ10m、幹の周りは1.54m、三つに分岐している。花は白色にして直径4〜7cm。晩秋から冬期を通じて咲いている。その木の大きさはサザンカとはちょっと信じられない位の圧倒的な量感を覚える。
 このサザンカは石川丈山が寛永18年(1641)詩仙堂に隠棲したときに植えたといわれるから、樹齢350年に及ぶことになる。今も健在で、庭内一杯に白い色が咲きこぼれるさまは、自然のつくり出す巧みに感嘆せざるを得ない。とくにカタンとひびく添水の音は、静中動があって、微妙な雰囲気をただよわせている。」
 魅力的なサザンカだなと思いました。これは、サザンカ探偵団としては見過ごすわけにいきません。
 詩仙堂丈山寺の入り口の門に咲いていたサザンカを見て、私はこれかなと思いました。このサザンカも立派なものです。写真を撮っていたらタクシーの運転手の方がお客さんに説明してる声が聞こえてきました。「このお寺はサザンカで有名なお寺です」やっぱりそうか。
 お寺の拝観料を納める場所で訪ねました。「樹齢350年という山茶花は、あの入り口のものですか?」「いいえ、その山茶花は10年ほど前に台風で倒れました。今、庭にあるのが二代目です。椿の横にあります。」とのことでした。そうか、竹村氏が書かれたものは今はないのか…残念。
 しかし、まあいいか、その二代目を見せていただこうと思いました。
左の大木は椿右が二代目山茶花 嘯月楼から庭を拝見
神光院山茶花 2007北野天満宮の梅
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