初秋の斑鳩・三塔を巡る
コスモス畑から国宝法起寺三重塔 |
斑鳩には、法隆寺・法輪寺・法起寺と3つの塔で有名なお寺があります。
法起寺の辺りにコスモス畑があって秋になると素晴らしいというので出かけました。2006・9・24
(1)国宝法起寺三重塔
(奈良県生駒郡斑鳩町大字岡本)
ここは、聖徳太子が山背大兄王に岡本宮(太子が法華経を講じられた)を改めて寺にするように命じられ建てられたそうで、聖徳太子が立てられた七ヶ寺の一つ数えられています。
法起寺の塔は、一重の石壇上に立つ三間四方三層、高さ23.9mの塔婆で、慶雲三年(706)に建立されたとする現存するわが国最古の国宝三重塔。
法起寺に礎石がありました。それに塔の法輪が映って不思議な美しさを見せていました。
(2)法輪寺三重塔
法輪寺三重塔にはかって創建時から残る日本最古の三重塔がそびえていました。
しかし、昭和19年(1944)7月11日落雷によって焼失してしまいました。
塔の復興事業は昭和30年頃から始まりましたが、まだまだ戦後のことであり、国宝指定を外されたこともあって、困難を極めたようです。作家の幸田文さんらの支援もあり、再建されたのは昭和50年のことでした。宮大工として有名な西岡常一が腕をふるった現在の三重塔は飛鳥様式を見事に再現しています。
(3)法隆寺五重塔
法隆寺はいくたびにその圧倒的な仏教美術の質と量に圧倒されます。建築・仏像などその美しさに感動します。博物館で見る美術品では味わえないものがあります。やはり仏像はその場所で雰囲気もいっしょに味わうものなのだなと思います。
私が始めて法隆寺へ行ったのは40年前になります。そのころ拝観料が500円でした。たいていの寺院の拝観料が200円とか300円の時代でしたから、高かったのです。しかし西院・東院と巡ってみて決して高額ではないと思ったものでした。現在800円ですが、その価値は十分だと思います。
ちょっと残念なのは、金堂の止利仏師の釈迦三尊像や四天王や薬師三尊の前に、プラスチックの防護壁を設置されたことです。また、五重塔の塑像の前にも同じ物がありました。貴重な国宝仏像群ですから、保存は大切なテーマなのですが、以前を知っているものには残念です。手を伸ばせば届きそうなところにあった五重塔の塑像は確かに盗まれそうでした。小さいものでもありましたから。でもあのバリアはせっかく身近に感じていた飛鳥時代を遠ざけるように思いました。
西院中門と金剛力士像(飛鳥時代)
時々、笑いそうな仁王さんに出会うことがありますが、さすがは法隆寺の仁王さんは迫力観点です。
金剛力士蔵 | 中門 | 金剛力士像 |
---|---|---|
西院回廊と中門
エンタシスの柱。回廊の連子窓も建物に調和しています。
金堂と講堂
金堂には、止利仏師の金銅釈迦三尊像などの仏像、天井には西域の雰囲気を持つ天蓋、そして壁面には壁画(昭和24年に焼けたため現在はパネル)が。採光を極度に押さえてあるので目が慣れるまでしばらく待ちます。
これに対して講堂は、飛鳥時代のものが平安時代に落雷のために焼失したそうです。現在のものは京都深草にあった建物を移築したと言うことでした。
講堂 | 金堂 |
金堂の彫刻
柿食えばの歌碑
正岡子規の「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」の歌碑がありました。
百済観音堂
この他にもたくさんの平安時代や鎌倉時代の国宝の建物があるのですが、飛鳥時代の建物に圧倒されて他のものはそれほどの値打ちがないような錯覚をするところが法隆寺のすごいところで、またもったいないところです。
続いて「大宝蔵院」があります。これは平成10年に造られた「百済観音堂」を中心にした宝物蔵です。ここに夢違観音、玉虫厨子、橘夫人厨子、百済観音など教科書や資料集で見た宝物類が展示されています。
法隆寺の彼岸花
東院夢殿
フェノロサと岡倉天心が秘仏救世観音を発見した時の話は何で読んだのでしょうか?ここから日本の仏教美術の再評価が始まったということであったと思います。毎年期間を限定して公開しておられます。聖徳太子のお姿を写したものだとか。救世観音を納めてあるこの夢殿は八角円堂で神秘的な佇まいです。
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