京都洛中石仏巡り

毎朝、二条通りから寺町通りを北上します。この通りに石仏がいくつかあります。まずそれから紹介することにします。

(1)善導寺釈迦三尊
中京区東生洲町(二条通木屋町東入る北側)

 ホテルフジタのすぐ西という方がわかりやすいのではないでしょうか。山門は竜宮門。
 本堂左前に目指す釈迦三尊石仏があります。花崗岩でできており、高さ90cmほど。表面中央に釈迦如来立像、右に如来立像(弥勒仏)。左は文殊菩薩立像。左弥勒仏の脇に「弘安元年(1278)…」の銘。文殊菩薩の脇には「願主慶円…」の銘。鎌倉中期の造立の大変よく残っている美しい石仏です。本来釈迦三尊の脇侍といえば左文殊菩薩、右普賢菩薩であるが、これは願主の願いからか弥勒仏になっている。そう言う点でも珍しい石仏です。中尊は嵯峨清涼寺式の流水文衣紋。この清涼寺式の釈迦の模刻は各地にあります。重要美術品に指定されています。

(2)革堂大日如来
中京区竹屋町(寺町通り東側)

 革堂は「都七福神巡り」寿老人のお寺として紹介したことがあります。
 現在京都国立博物館にある大日如来はもともと革堂にあったものだそうです。蓮華座上に法界定印を結んで、結跏趺坐する胎蔵大日で鎌倉後期の石仏。

(3)革堂石仏群・阿弥陀三尊石仏
中京区竹屋町(寺町通り東側)

 革堂の山門を入って左(北側)へ向かいますと鐘楼があります。その後ろに石仏群があります。また鐘楼の西側にも石仏堂があってたくさんの石仏です。
 この阿弥陀三尊の右は弥勒仏左は地蔵菩薩。観音菩薩・勢至菩薩という普通の阿弥陀三尊ではありません。室町時代に作られたであろうこの仏も当時の信仰のあり方を物語っている。

 

(4)廬山寺石仏
上京区北之辺町

 廬山寺は「節分追儺式」の鬼で有名で、紫式部の邸宅跡にあるというお寺です。
 このお寺の墓地へ行く道を右に折れていくと廬山寺陵墓があります。多くの天皇などの墓です。その入り口付近に「雲水の井」という謡曲「東北」にも取り上げられる井戸があります。この井戸へ下りる石段石組みに高さ1.1mの如来仏があります。摩滅損傷がひどく判然としませんが鎌倉後期の釈迦か弥勒と思われます。廬山寺でもう一つ発見しました。ここにお土居の跡がありました。鴨川の西にそってお土居があったとのことこれで分かります。

(5)上善寺石仏群
北区上善寺門前町

(ア)上善寺大日石仏

 上善寺は「京の六地蔵巡り」で以前に紹介しました。深泥池地蔵を祀っておられます。出雲路橋から鞍馬口通りを少し西へ行ったところにあります。
 山門入ったところすぐに大日石仏が覆屋の中におられます。花崗岩製、高さ1.6m光背を舟形に作り背後は自然石のまま。知拳印の金剛界大日だと思われます。結跏趺坐した膝下が土に埋もれている。鎌倉中期の作と思われ、現在は浄土宗であるが、天台宗であった頃の旧仏です。

(イ)上善寺石仏群

地蔵堂の右に石仏群があります。いずれも花崗岩製で一番大きな地蔵菩薩立像で1.3m、聖観音像は85cm、十三仏の碑は京都ではあまり発達しなかったもので、ここだけにしかない特殊な仏の配置になっているもので、江戸中期の造立とか。
上善寺石仏群全体像
鎌倉後期地蔵立像・聖観音像
墨で線上をたどった地蔵菩薩座像線彫り

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