大和の石仏2005ー2
重文・長岳寺鐘楼門 |
JR柳本駅から徒歩20分・近鉄桜井駅からバス「上長岡」下車徒歩10分。崇神天皇陵の北東すぐ、山の辺の道沿いです。
このお寺は「関西花の寺第19番霊場」。12000坪の境内にさくら・つつじ・かきつばた・もみじなどが美しいそうです。真言宗のお寺で重要文化財の建物3棟、同じく仏像5体など寺宝も多数あります。このお寺に狩野山楽筆の大地獄絵があるそうで、毎年秋に仏画展として開帳されます。長岳寺HPで見られます。
(1)弥勒大石棺仏
ここに、お目当ての弥勒大石棺仏がおられます。高さ2.4m幅1.8m厚さ30cmの板状凝灰岩に光背を彫り込んで、如来像が厚肉彫りされています。この弥勒さん、古墳石棺の蓋石を利用して作られており、鎌倉中期の作。ごらんのように摩滅もなく力強さもある一方、表情にはほほえみも見られ美しい弥勒さんです。弥勒触地印(手の甲を表にする印)を現す左手は堅いが、施無畏印の右手が美しい。
(2)長岳寺笠塔婆石仏
弥勒さん拝ませてもらって、石段降りてきたところでご住職らしい方がその石段修理しておられました。奥の院に素晴らしい不動さんがおられるのですが、そこへ行く道のことをうかがいました。1時間半かかると言うことで今日は断念しました。
その石段の横にもう一つ見たかった笠塔婆石仏がありました。近年石段の石材をめくったらこれが見つかったそうで元亨2年(1322)の銘があります。裏向けになっていたためにしっかり残ったのだそうです。舟形光背の中に蓮華座にのった地蔵菩薩像が彫られています。その下には2人の僧と思われる像。左の人が右の人を拝しています。「供養塔であろう」とのことでした。
こういう石仏が何体も境内にあります。
境内に八十八カ所道コースがあってこれはその一体です。3頭身の不動さんです。奥の院の不動さんのこと聞いていたら、住職が「これはかわいらしいですけど」とおっしゃってました。愛嬌のある不動さんです。
(5)重文五智堂(真面堂)と石仏
長岳寺からJR柳本へ戻る道に五智堂という鎌倉時代の変わったお堂がありました。まるで「1本足の笠小僧」といった印象のある建物です。他にこういう例はあるのでしょうか。初めて見ました。何でも心柱を大日如来に見立て、四方に梵字額を飾って五智如来を表しているそうです。
ここに何体かの石仏があります。この中にもともと石棺の石だったのではないかと思われる石仏が2体ありました。石の厚みと上についている凸の部分でそう思ったのですがどうでしょうか。一番大きい弥勒石仏はなかなか美しい仏さんだと思います。
もう一カ所五智堂のすぐ東に石仏が固めてありました。夕方お線香があげられていて地域の大切な仏さんであることが察せられました。時代は鎌倉から室町まで多彩。
柳本そして長岳寺には「善教」という方の彫られた鎌倉時代の石仏が多数残されています。それについては又後日訪ねたいと思っています。
2005・3・5作成
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