東北三大桜を見るPart3

津軽鉄道と桜

 津軽といえば、吉幾三の歌で擦り込まれたイメージが大きい。
 「津軽海峡冬景色」(石川さゆり)」の歌詞「上野発の夜行列車降りたときから、青森駅は雪の中、北へ向かう人の群れはだれも無口で、海鳴りだけを聞いていた」も私の青森観に影響を与えている。私のイメージはきっと青森の方が聞いたら、「いつの時代のことだ」ということになりそうだ。
 私は鉄道に興味があるわけではないので、津軽鉄道の詳しいことは知らない。この鉄道は五所川原から津軽平野を北上し津軽中里まで行く。津軽半島の竜飛岬はまだ先だ。
 今回のツアーで「五所川原駅」〜「芦野公園駅」まで津軽鉄道に乗るというスケジュールが組まれていた。「なぜ?」と思ったが、芦野公園駅が桜のトンネルのある場所であった。公園には動物園もあり、たくさんの露店が出て、さくらまつりが行われ、大勢の人が出ておられた。

(1)津軽鉄道のストーブ列車

 私が乗った列車は左のディーゼルであった。重厚でかっこいい。津軽鉄道、企業努力をし集客力を高めようと頑張っておられる。車内に石炭ストーブ(だるま型)があった。冬には石炭を焚いて、あみの上でスルメを焼くのだそうで、確かにスルメの臭いがした。さすがに5月にストーブは焚いていなかった。
 沿線の詳しい情報や案内を、津軽の方言を駆使して乗客を楽しませてくれるマイクをつけた女性ガイドの方がおられた。この方がスルメも焼くのだとおっしゃっていた。達者なおしゃべりで、感心した。伊奈かっぺいさんというタレントさんがおられるが、あの方を彷彿させるしゃべくりであった。
 「ストーブ列車」だけでなく「風鈴列車」「鈴虫列車」などの企画もあるのだそうだ。

(2)津軽五所川原駅

 津軽鉄道の駅とJRの駅の改札も待合室も場所が違う。JRの駅のホームの一部を間借りしているような感じで津軽五所川原駅はある。私たちは団体だったためか、右の写真のところからホームへ入った。右へ行くとねぶたの顔の部分の置いてあるJRの五所川原駅のホーム。

(3)五農高前駅

 津軽五所川原駅から二つめに「五農高前」という駅があった。五農高とは「五所川原農林高校」略称である。この学校確か相撲の強い学校で、全国大会でもよい成績を残しているのではなかったか。青森は強い力士を輩出する県というイメージがある。私が子どもの頃圧倒的な人気であった初代横綱若乃花は青森県だった。現役では宝富士が青森出身だそうだ。
 この駅から農地の向こうに五農高が見える。駅から大分ありそうだ。門から校舎まで800mと言う説明があった。800m+門までの距離を考えると駅から相当な距離を歩くのだろうなと思った。

(4)吉幾三と津軽(嘉瀬駅)

 先にも書いたが、私は津軽と言えば吉幾三の「津軽平野」を思い出す。そして彼が東京へ出て行く自分のことを投影して作詞したであろう「酒よ(ロングバージョン)」の一部を思い出す。ついでながら彼が「俺ら東京さいぐだ」のようなところで育ったのだろうなと勝手に想像してしまう。もちろん「俺ら東京さいぐだ」はおもしろ可笑しく作られた世界であることは分かるが、それを発想させる彼の故郷に興味があった。それは太宰の生家の一つ手前の駅「嘉瀬(かせ)」だそうだ。今もご兄弟がおられるそうで、彼が建てた家もあると津軽鉄道の中でマイクをつけて案内をしてくれる女性がおっしゃっていた。私は太宰より吉幾三の方に興味がある。
津軽平野
一,津軽平野に 雪降る頃はヨ
父親(おどう…以下同じ)一人で 出稼ぎ支度
春にゃ必ず 父親は帰る
みやげいっぱい ぶらさげてヨ
淋しくなるけど 慣れたや父親

三,山の雪解け 花咲く頃はヨ
母ちゃんやけにヨ そわそわするね
いつもじょんがら 大きな声で
父親歌って 駅から降りる
お岩木山ヨ 見えたか父親
お岩木山ヨ 見えたか父親
酒よ(ロングバージョンより)
故郷(ふるさと)の駅からは 恩師と友が
青森の駅からは 母一人
泣きながら 追いかける着物の母がいた 
いつの日か またいっしょ
暮らせる 夢乗った

居酒屋のかたすみに 置いてたギター 
つま弾けば歌い出す 演歌節 
冷や酒と酔いどれと なみだとふるさとと
年老いた 父と母
子どもと なあお前

それぞれに人はみな ひとりで旅に発つ
幸せになるために
別れてなあ酒よ
わかるよなあ酒よ
俺ら東京さ行ぐだ
テレビもねえ ラジオもねえ
車もそれ程走ってねえ
ピアノもねえ バーもねえ
お巡り 毎日 ぐーるぐる
朝起きて 牛連れて
二時間ちょっとの散歩道
電話もねえ ガスもねえ
バスは一日一度くる
*オラ こんな村いやだ オラこんな村いやだ
東京へ出るだ 東京へ出たらなら
銭こあ貯めて 東京でベコ飼うだ

ギターもねえ ステレオねえ
生まれてこのかた 見たごとあねえ
喫茶もねえ 集いもねえ
まったぐ若けえもんは 俺一人
婆さんと 爺さんと 数珠をにぎって空拝む
薬屋ねえ 映画もねえ たまにくるのは 紙芝居 
オラ こんな村いやだ オラこんな村いやだ
東京へ出るだ 東京へ出たらなら
銭こあ貯めて 東京で馬車引くだ

ディスコもねえ のぞきもねえ
レーザー・ディスコは何者だ?
カラオケはあるけれど かける機械を見たことねえ
新聞ねえ 雑誌もねえ たまに来るのは回覧板
信号ねえ ある訳ねえ オラの村には電気がねえ
オラ こんな村いやだ オラこんな村いやだ
東京へ出るだ 東京へ出たらなら
銭こあ貯めて 銀座に山か買うだ

オラ こんな村いやだ オラこんな村いやだ
東京へ出るだ 東京へ出たらなら
銭こあ貯めて 東京でベコ飼うだ
 

(5)太宰治の金木駅

 津軽鉄道のホームで待っていると、列車が入ってきた。「走れメロス号」と書かれている。太宰治の代表作が列車名になっている。太宰は金木というところの出身だそうで、太宰治記念館「斜陽館」がある。そしてホームの掲示板に太宰の小説「津軽」の一部が書かれていた。

(6)芦野公園駅の桜

 「芦野公園駅」に着いた。沿線に大勢のカメラマン。到着してくるディーゼル機関車を写真に捉えようとカメラを構えておられる。分かる分かるその気持ち。
 「芦野公園駅」周辺はは線路の両側にソメイヨシノが植えられていて、サクラのトンネルになっている。そして芦野公園は「日本のさくらの名所百選」に選ばれており、1500本ののサクラが植えられているそうだ。大勢の方がサクラ見物に来ておられた。

やっぱり、鉄道とサクラの相性はいいようで、撮りながらとてもいい気分になりました。そして下の写真が私のベストショット気に入ってます。

東北三大桜を見る(1)
岩手中尊寺・北上展勝地
東北三大桜を見る(2)
秋田十和田奥入瀬
青森弘前城
 
東北三大桜を見る(3)
青森津軽鉄道と桜
  
東北三大桜を見る(4)
秋田角館
一目千本吉野の桜   京都の桜  常照皇寺の桜  
桜舞うpart1京都 桜舞うpart2日当駅 桜舞うpart3奈良 桜舞うpart4岐阜
桜舞うpart5勝持寺  HPへ戻る