木喰さんを訪ねる旅(8)
下呂市温泉寺
(岐阜県下呂市湯之島)

2014・10・26(日)撮影
2014・11・9(日)作成

 中日文化センター主催の紀行講座「円空仏に会いに行く旅で下呂市温泉寺へ行った。そこに木喰さんもおられた。
 木喰さんと円空さんが同じ場所で造像されたことがその残された仏像で確認できるのはここだけだという意味では貴重な寺である。私は単純に二人とも温泉が好きだったのであろうと思う。また、下呂の温泉寺も全国を廻国して回っている僧に対して開放的であったのだと思われる。その事実だけでも私はいいお寺だなあと思う。

木喰作『地蔵菩薩』
(24.0cm)

 木喰の地蔵菩薩である。晩年の木喰像にある微笑はない。丁寧に表面を滑らかに仕上げている。目の下の隈のような彫りが気になった。衣や手の表現は晩年と変わらない。台座は三重で、下から返花、敷茄子、蓮である。
  木喰はまめに自作の像の背銘を書く。
 蓮座背面に作木食行道(この時は木喰とは書いていない)廻國と記している。丁寧に花押も書いている。
 背中には右腕に天明六年六月廿日と造像した日を記す。1789年、木喰69歳の時の作である。
 他にもたくさんの文字が書かれているが背中右側三行には法華経普門本の一節と地蔵菩薩の真言が書かれている。
 一番左には「三界無庵無佛」と記す。
 三界というのは、一切衆生が生死輪廻する三種の世界のことで、欲界・色界・無色界のこと。衆生が活動する全世界を指している。「三界に家なし」という慣用句があるが、それは「どこにも安住する家がない」の意。廻国している自分には安住して住む庵や仏像がないという意味か。
 木喰は4回廻国しているがこれは3回目の廻国の時の作。佐渡から故郷である越畑へ戻りその後廻国に出た。
 天明6年6月10月6日銘の善光寺如来が滋賀県東近江市鋳物師の民家にある。近くの竹田神社には狛犬があり、同時期のものだということになる。
木喰さんを訪ねる旅(1)
京都丹波清源寺
 
 木喰さんを訪ねる旅(2)
滋賀蒲生町竹田神社
木喰さんを訪ねる旅(3
兵庫猪名川町
木喰さんを訪ねる旅(4)
新潟上前島金比羅堂
 
木喰さんを訪ねる旅(5)
新潟長岡寶生寺
 
木喰さんを訪ねる旅(6
新潟柏崎西光寺
 
 木喰さんを訪ねる旅(7)
新潟長岡真福寺
 
 
 木喰さんを訪ねる旅(8)
岐阜下呂温泉寺
木喰さんを訪ねる旅(9)
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