私が円空さんを訪ねるという時、「円空仏を拝観する」、「円空さんのことを知る」、「円空仏を彫る」とう3つぐらいの意味が含まれている。このページは円空ファンの私が円空さんを追いかける記録である。
「円空さんを訪ねる旅」を始めるにあたって |
(4)円空仏を彫ってみたい
この力光作平成の円空仏は、私の仏像彫りたい願望を刺激した。
家に帰ってから、私の仏像を彫りたい願望が復活した。円空のように彫りたいと思った。自由に彫りたいと思った。私が仏像を彫りたいと思ったのはこれで、二回目である。彫りたい願望は大学生の時に最初きた。何とか彫れそうだ…と安易に考えた。彫刻のちょの字も知らないのに何とかなるだろうという気になっていた。無謀だと言えば無謀だが、私はいつもこんな調子だ。道具も分からないし、木がどこで手に入れるのかも分からない。
義兄が大工さんで「丁度仕事で高級桧の柱を使っていて、切れ端が出るからあげよう。」と言ってくれた。木が手に入った。いい香りのする正目の材料だ。どうしたらよいか分からないので、本を買ってくることにした。お世話になったのが、「かわいい仏さんを彫ろう」という題(だったかな?)阪田さんという方の本であった。図書館で松下宗琳さんの本も借りたが全く手に負えないことはすぐに分かった。
本当は「仏像彫刻」講座にでも通って習いたかったのだが、本格的に始める覚悟もないまま取り敢えず彫ることにした。
彫刻刀を買いに行くことにした。後で気づいたのだが、何が必要か調べたらよかった。そして日曜大工センターへでも行って必要な道具をそろえたら良かったのに、彫刻刀…としか思わず、ちょっと上等の彫刻刀を四種類(切り出し、三角刀、大小丸刀)買ってきた。鉈は家の木を切るために購入していたのであった。のこぎりもノミも木槌もないし、仕事の台もない。
とにかく、円空さんのようには彫れないことだけははっきりした。
(5)「円空の原像」を買ってきた
美並村編著「円空の原像」(編集池田勇次・惜水社・2003年)を買ってきた。もう3年前に読んだので内容は忘れたが、美並村と岐阜羽島が円空生誕地をどちらも主張しているらしい。
この年、京都大丸ミュージアムで入定310年『円空展』庶民の信仰・慈愛の微笑み(2005年5月12日〜24日・主催京都新聞社・協力円空学会)が行われており、私は見に行っている。この時の図録がなかなかよくできている。図録『円空展』(2005年神戸新聞社発行)
私が持っている円空の本は、古い順に並べると以下のようになる。
(1)「円空と木喰」(小学館・本間正義著・昭和49年(1974))
(2)「美並村の円空仏」(編美並村教育委員会・解説池田勇次・1988)
(3)「円空と木喰」(淡光社・五来重著・1997年)…この本出版はこの年ですが発表されたのは1968年です。
(4)「円空と美並村」(編美並村教育委員会・2000年)
(5)「円空の原像」(編集池田勇次・惜水社・2003年)
(6)図録『円空展』(2005年・神戸新聞社発行・梅原猛・長谷川公茂・小島悌次解説)
(7)『円空を旅する』(2005年冨野治彦・産経新聞ニュースサービス)
(8)「歓喜する円空」(梅原猛・2006・新潮社)
他に図書館で借りた本に、「円空 微笑の旅路」(三宅雅子・叢文社・2001)があります。
追記
(9)『円空ー羽島市の円空仏」(昭和51年・鈴木正太郎・羽島市円空上人顕彰委員会)
(10)『行動と文化』9・13・21・23(富山県細入村・荒子観音・羽島市・千光寺)(小島梯次・行動と文化研究会編)
(11)「円空研究」1〜7(円空学会編・人間の科学社・2005新装普及版)
(12)「円空さんとわたし」(後藤英夫写真集)(岐阜県博物館編・1995)
(13)荒子観音寺円空佛(荒子観音寺冊子800円)
(14)「NHK美の壷 円空と木喰」(NHK「美の壷」制作斑・2007・NHK出版)
(15)「円空彫のすすめ」(三輪年朗・1998新装版・日貿出版社)
(16)「『修験僧』円空研究 成果と課題」(惜水社・池田勇次・2007)
(17)「円空 心のありか [新資料は語る]」((2008年代表著者池田勇次・惜水社)
(6)入定310年 庶民の信仰・慈愛の微笑み『円空展』 これが円空である より
この円空展のチケットの裏に書かれている文章がなかなかいい。
生涯12万体、魂と祈りを刻んだ『心』に迫る
円空について、まず誰もが驚くのは、
生涯12万体ともいわれている驚異の作品数でしょう。
これは、元禄3年(円空59歳)に
岐阜県上宝村で制作した今上皇帝像の背面に、
10万体造顕を達成と記されたことから推定されます。
64年間の生涯で、32歳の時、
初めて像を彫ったとされることから推測すると、
約30年の間、毎年4000体以上
制作しなければ成しえない数字です。
しかもその一体一体が異なった形であり、
どの像にも祈りが込められ、
まさに血の通った仏像・神像ばかりとなると、
円空の偉人ぶりは我々の想像を超えてゆくばかりです。
円空は、1632年(寛永9年)、
現在の岐阜県である美濃国に生まれました。
全国を巡る僧として、訪れた各地で、民衆を苦しみから救うため、
観音菩薩像をはじめ諸像を刻み歩きました。
その足跡は、北海道・東北・関東・中部・近畿地方など、
各地から発見された「円空仏」から辿れます。
全国で約5200体が現存し、神社・仏閣だけでなく
小祀堂・民家にも祀られ、、庶民の信仰の対象になっています。
本展は、そんな流浪の旅の日々より生み出された
「円空仏」の中より、約140体の優品を厳選し、
円空が、庶民の信仰を形にした様々な像の
芸術性に迫ろうとするものです。
最近、伊勢市・中山寺で発見された極初期像を含む
ここ3年間に発見された7体の像をはじめ、
過去の全国規模の円空展では出品されたことのない
70余点の初出品作品にもご期待ください。