円空さんを訪ねる旅(53)
岐阜市大智寺
(岐阜市山県北野)
大智寺には五体の円空さんがおられました。臨済宗妙心寺派のお寺です。「この辺は妙心寺派の寺が多い」とおっしゃっていました。三ツ葉葵の家紋が入った檜皮葺の立派な勅使門がありました。数百年の年月を経た大木。何でも斎藤道三の時代からの古刹だそうで落ち着いた雰囲気のお寺でした。
上の写真の二体地蔵菩薩と観音菩薩、合わせると一本の建築材であったことが分かるというので、お願いして合わしていただきました。円空さんでは時々あることです。でも実際に合わせているのを見たのは初めてでしたのでうれしくなりました。
(1)地蔵菩薩(44.8cm)・観音菩薩(45.8cm)
部屋に遅れて入った私はかなり離れた場所から5体の円空仏を見たのですが、最初一体円空じゃない仏さんが並んでおられると思いました。円空さん、どうしたの?と言いたくなるような装飾性に富んだ像だと思いました。
それは右の観音菩薩でした。スマートで顔もあか抜けていると思ったのです。この観音さん、頭の飾りもオシャレです。火焔状の結髪は他にもありますが、その前にある飾りは珍しいと思います。これは何でしょうか、孔雀が羽を広げているようにも見えますし、珊瑚のようにも、櫛のようにも見えるなと思いました。宝珠を胸前の両手の上に持っておられます。衣服の彫りも丁寧です。鱗状の衣文が五重重なっています。沓を履いた足の動きも凝っていて、左足を石か何かの上に乗せています。目はやや上がり気味です。角度によって表情が変化するように思います。
お地蔵さんはにこやかで、えらい垂れた目です。磐座の上に沓を履いて立っています。衣の中に手を入れて合掌しています。
(2)宝冠阿弥陀
(26.8cm)
宝冠を被った阿弥陀さんです。通肩、定印の阿弥陀さんです。筋状の座の上に蓮座です。円空さんが小さい仏さんを個人宅に残すときに彫るものです。この宝冠は筋目だけで表現しています。顔は笑っておられるようです。幅広のお顔で目鼻立ちは浅めに彫っています。裏面に文字が見えます。頭部に「キリーク」ですから阿弥陀さんに間違いないとのことです。私が撮った写真は右のものですがキリークは確認できませんが、同行の方のカメラにははっきり写っていました。背中にも真言が見えます。
(3)小観音像2体
二体おられました。左のものは長い目の裳懸座の下に筋状の座、さらに下に四角い台。右の観音には色違いの座が作られています。左の観音さんは、蓮座の下に筋状の座(六角形)その下に長方形の台。二体とも座が珍しいものです。円空が作ったのか、後にどなたかが作られたのか、よく分かりません。背面に何か書いてあるようです。
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