円空さんを訪ねる旅(52)
岐阜市延算寺
(岐阜市岩井)
延算寺は弘法大師によって創建された1200年を超える歴史のあるお寺だそうです。又伝説によれば小野小町が「かさ」(天然痘)にかかり、ここの本尊薬師如来(重文)のお告げで治癒したそうです。そのため延算寺東院(左写真)に「かさ神薬師」が祀られています。又「小町堂」というお堂もありました。小野小町伝説が岐阜にもあったのですね。
東院は神社のような佇まいです。千体薬師という石仏群もありました。東院と本坊は歩いて10分ぐらい。少し離れています。
本坊(写真右)境内に柳原白蓮の碑があること、また、名古屋におられるきんさんぎんさんの娘さんたちもそろってお参りになると住職はおっしゃっていました。本尊が施無畏与願印の薬師如来立像です。そのためか本坊へ登っていく道にある薬師石仏は、立像も座像ともにすべて施無畏与願印でした。
本坊が右の建物。ここに本尊とともに円空の極初期像がおられます。
薬師如来
(15.0cm)
円空さんの薬師如来は禅定印に薬壺を載せておられます。この寺の他の薬師如来とは違います。
極初期像の特徴である蓮座の張り出し、背中の衣文の斜め線が多数あること、目がややつり上がった硬い表情、丁寧な彫りが見られます。
私今阿弥陀如来を彫っているのですが、衣は「偏袒右肩」です。如来像の場合他に「通肩」という着方もあります。円空のこの薬師はどちらでもありません。通肩の上から両肩に衣を着せています。この方が模様としていいと思ったのでしょうか。どうも「偏袒右肩」と「通肩」両方合わせてさらに左側も加えたようです。
極初期像ですから北海道へ渡る前の作です。
少し違う角度からこの像を見てみました。横顔から気づくことです。耳の辺りの処理の仕方がユニークです。首はないのですが衣服と頭部を区切っていることが分かります。鼻を隆起させずに他を彫ることで表情を出しています。
右の頭部の写真を見ていて興味あることを見つけました。
頭部は4部分に分けられます。下から1,額近く、2,2段目、3,三段目、4,頭頂部。円空は頭部を三回に分けて彫っています。額から二段目は繋がっています。三段目は2段目の筋彫りの半分の数にして、渦巻き状にしています。頭頂部は放射状にしています。
蓮座の下の筋彫りの座も大変細かい彫りです。この細かい彫りは何を使ったのでしょうか。三角刀かなと思ったのですが、円空の時代にはなかったと聞きました。ということは小刀だということでしょうか。丁寧に彫ってますね。私こんな丁寧な彫りできません。
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