円空さんを訪ねる旅(48)
下呂市温泉寺の円空仏
(岐阜県下呂市湯之島)
撮影日:2014・10・26(日)
作成日:2014・11・9(日)
下呂温泉は日本三名泉(有馬・草津・下呂)だと林羅山が言ったらしい。有馬にも温泉寺がある。草津はどうか知らないのだが、確か城崎にもあったように思う。
下呂の温泉寺には円空仏と木喰仏の両方がある.。両方あるのは全国で唯一下呂温泉寺だけである。円空仏は4体。木喰仏は1体である。
(1)円空仏1『善財童子』と『善女竜王』
善財童子(51cm) | 善財童子と善女竜王 | |
善女龍王(55cm) | ||
この二体は大きさもおおよそ合っている。善女龍王と善財童子であることは背銘から明らかである。この二体の組み合わせは円空が好んで三尊形式にしたものである。飛騨国府清峯寺には十一面千手観音を主尊にした円空仏を代表するものがある。 もともともう一体、聖観音や十一面観音などの観音像があってその三尊形式であったのではないかということを想像させる像である。 一木で二体もしくは三体彫った可能性は磐座を裏から見た限りではなさそうだった。 善財童子の背面には「アラバシャキャ」と大日三種真言の中の大日応身真言(アラバシャナウ)が間違って書かれている。元禄期の像は三種とも書いているものが多いので、一種しか書かれていないこれは貞享年間(1684〜1687)初期の可能性があるとのことであった。 善女龍王の頭部には相当数の文字か真言が、背中にも真言らしきものが見えるが判然としない。円空は「王」を「玉」と書いている。龍は玉を持っているからなのだろうか。これも何か理由があるのかも知れない。 |
(2)円空仏2『宇賀神』
宇賀神(15.5cm) | ||
宇賀神は室町時代の日本生まれの穀物神だそうだ。 顔は老人で、体はヘビの姿をしている。私は宇治の三室戸寺で最近作られた石の宇賀神像を見たが確かにそのような姿であった。仙人のようなお顔に彫ってあった。円空の宇賀神は何体か見たが大体このような形で、老人という感じではない。 女性の顔をした宇賀神もあるようだ。 弁財天の頭部に宇賀神を載せ鳥居を添えるという宇賀弁財天というものもある。琵琶湖に浮かぶ竹生島にはこの宇賀弁財天が祀られていた。 円空の宇賀神の体はヘビのどぐろを表現しているのであろうが何となくユーモラスである。頭を尖らせているのはやはりヘビを意識してのことか。 背面には文字らしきものは見えない。 |
(3)円空仏3『阿弥陀如来』
阿弥陀如来(24.0cm) | ||
簡単に筋彫りで頭部や顔衣服を表現。顔のまん中へ向かって少し高くして鼻を意識させ、口付近を少し窪めて顔の表情を出している。 頭部背銘は最勝を表す「ウ」か。 下に阿弥陀を表す「キリーク」があるという説明だったのだが、おそらく下の写真左側がそれにあたると思われる。 下部の種字は三行書かれているようですがよくわからない。 金剛界五仏かなと思ったりまん中の行の一番上は「ア」で胎蔵界大日で一番下は妙吉祥の「シリー」のかなと思ったり。 難しい。 |
||
日本の石仏めぐり | 円空さんを訪ねる旅 | 木喰さんを訪ねる旅 | HPへ戻る |