円空さんを訪ねる旅(44)
金山町祖師野八幡宮
(岐阜県下呂市金山町祖師野)
撮影日:2014・9・17
作成日:2019・9・28
金山町祖師野と言えば、この後ご紹介する予定の祖師野薬師堂が有名ですが、この八幡宮にも二体の円空さんがおられました。神主さんはお話し好きな方でした。神社の由来記にまだ書き加える余地があることを例に引きながら、この土地が何度も住所変更を強いられてきた歴史を語られました。今は下呂市に編入されています。地元の小学生が地域学習で訪れるので手製のテロップも用意されていました。
この神社には大きな杉の木が何本もあり、鳥居の左右には稲荷神社と愛宕神社がありました。円空さんはその摂社に祀られていたのかも知れません。
(1)二体の円空仏
円空さんは二体おられます。 手前が狐を模した稲荷大明神。 向こう側が「箒頭」の護法神または愛宕神ではないかと行くときのバスの中で説明がありました。(小島梯次さん) 丸山尚一氏は金剛神ではないかとおっしゃっていたようです。 しかし最近の科学技術の進歩はめざましく、背部に墨書されている文字が写せるカメラで撮影したところ文字が浮き上がったそうで、金剛神、あるいは護法神(愛宕神)と言われてきたものは「三宝荒神」であることが判明したと連絡いただきました。 おそらく、稲荷大明神は摂社の小祠堂稲荷神社、三宝荒神は愛宕神社に祀られていたのではないかと思われます。愛宕神社は火伏の神ですから三宝荒神が祀られていても不思議ではありません。
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(1)稲荷大明神(38.3cm)
材を四分の一に割ってその尖った面を顔に利用するという円空の彫り方がよくわかる像です。木目が顔や衣文にも出ていて効果的です。頭部側面に三角状の凸凹をつけているのは頭髪なのですが、模様のようでおもしろい。
(2)三宝荒神(48.5cm)
箒頭に宝珠を持ったお姿の三宝荒神像です。好きずきですが、私は正面右からみたお顔が魅了的です。顔の造作が左右でアンバランスで、正面から見るとやや奇異でした。荒々しい鑿跡で一気に作り上げた円空仏だと思われます。
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