円空さんを訪ねる旅(17)
飛騨国分寺
(高山市総和町1−83・рO577−32−1395)
JR高山駅から5分に飛騨国分寺があります。このお寺に円空さんの弁財天がおられるということを今年春、高山から帰ってから知りました。百日紅の美しいお寺でした。
国分寺でありますから、聖武天皇が勅願した寺です。天平18年(746)行基が開基だそうです。秀吉の時代に金森長近が五重塔などを焼いたそうですが、高山城を領した後は庇護し、三重の塔を再建しこの寺の再興に尽力したといいます。
史跡指定1件、天然記念物指定1件、重要文化財指定4件など、多くの貴重な仏様や刀剣、建物などを保有されています。中でも平安時代の本尊薬師如来座像、聖観音菩薩立像は心に残りました。平家伝来の刀剣「小烏丸太刀」は盗まれてはいけないので非公開にしているとおっしゃってました。
円空さんは、県や市重要文化財にも指定されていないようで、単に寺宝と書いてありました。
この寺に円空に関係するものが3つあります。
@鉈ばつり弁財天
A薬師三尊仏
B円空の書「莫妄想」
(1)弁財天
国分寺の弁天さまは、宝珠を手に持ち、何やら鎧のようものを身にまとっておられました。年輩のやや太り気味の逞しい女性という感じがしました。大地にガッと足を踏みしめて立っておられました。1m以上ある大きな像です。本堂内寺宝は写真撮影禁止でありました。
(2)薬師三尊(なべぶた薬師)
弁財天前の小さな厨子の中におられました。私はこの三尊は見せていただけないと思っていましたが、しばらく前からお厨子を開けているとのことでした。何とも肩の力の抜けた造像です。真ん中が薬師如来(32.5cm)で左右が菩薩像(25.3cm)だそうです。円空は薬師さんを造る時、薬壷をもたせるので、果たしてこれが薬師三尊なのかどうかは疑問だという声もあるようです。なべぶた薬師という命名は「なべぶたの上に接着されている」からです。
こういう仏像がもし仏壇から見つかったら…大切にする人半分、粗末に扱う人半分でしょうね。
国分寺では暗くてその表情が分かりませんでした。真っ黒の墨みないな長細い棒が三本あるという感じでした。家へ帰ってから図録でやっとこういう顔だったのかと思った次第。私の絵は感じは出せていると思いますが、似ていません。顔は円空仏独特の鼻の隆起を無視したのっぺりしたものです。眉や目口は一本の線で軽く表し、口のまわりだけ少し彫り窪めています。頭は富士山型です。
(3)円空筆「莫妄想」の一行書
「莫妄想』…「妄想するなかれ」だそうです。国分寺ではあったのかどうか分かりませんでした。これは2005年に京都でもあった『円空展』に出品されています。家へ帰ってからこの時の図録を見ていたら、上記「なべぶた薬師」と「莫妄想」が出品されていたことを知りました。
全く覚えていません。梅原猛さんは『歓喜する円空』の中でこの書が一休禅師に匹敵すると評価されています。先の図録にも達筆と紹介されています。
私にはどうともいえない字です。
2008・8・9(土)撮影
2008・8・15(金)作成
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