円空さんを 訪ねる旅(113) 平田寺 北名古屋市九之坪 |
2018年6月18日(月)全国木喰研究会名古屋ツアーの二日目最初に訪ねたのが平田寺。へいでんじと読む。ここには三体の円空仏がある。
前日小牧のホテルに宿泊したのだが、朝食中のTV報道で大阪北部地震の速報。「京都市伏見区震度5強」にビックリした。雨が降っていたが、名古屋ツアーの方は平穏にスタートした。
(1)薬師如来座像
(28.8cm)
大きな薬壺を持っておられる。いつもの通り左手を上にしている。平べったいお顔でアゴが張った薬師さんである。臼座の上に蓮座の二重台座であるが、最初は磐座にしようとしたような跡がみられる。 長方形の材を使って彫ったことがよく分かる。 背銘梵字で私が読めたのは 右ベイシラマンダヤ(毘沙門天) 中央バイ(薬師如来) 左カーンマーン(不動明王) 中央には他の文字も書かれている。日光月光で三尊かなとも思ったが分からない。文首文字も不明。 この像の背面には朱書きの文字が見える。このように書かれている。 天保七丙申三月十五日 謄永代 当村施主桶屋長左衛門 天保七年は1836年で、円空死後百四十年経過している。この像に何があったのだろう。 |
(2)観音菩薩
(27.0cm)
痛々しく頭部が割られている。何かの拍子に割れたのではなくて、意図的に割られたようだ。 明治の神仏分離、修験禁止令、廃仏毀釈、小祠合祀令などの傷跡ではなかろうかということであった。 頭に阿弥陀如来の化仏が彫られている。穏やかないいお顔の観音菩薩である。 背面梵字が読めなかった。写真も上手く撮れなかった。資料で見せていただいたのを見ると、三種真言が書かれているように思ったのだが…。 |
(3)神像
(34.0cm)
この像は上の写真の祠堂に祀られていたらしい。 この像軽いようだ。材はヒノキか桜ではなかろうかということであった。彩色されている。雨水がかかったのか、水没したのか背面の文字がぼやけている。お顔にも墨が流れたようなシミができている。 彫りは荒い。お顔は微笑みをうかべ穏やかである。顔をやや左に傾け斜め上を見ているようである。彫っているうちにこうなったのであろう。円空が神を彫るときに被せる幞頭冠(ぼくとうかん)を被っておられる。 背面の梵字であるが、よく分からない。「天」という文字が彫られているように見える。これは後から加えられたようだ。 十一面観音、聖観音、阿弥陀如来の梵字が見られるとしたら、白山三神で白山神の本地仏と言えるということであったが、私には全く判読不可。 |