円空さんを訪ねる旅(71)
2016・9・23(金)〜10/30(日)
美江寺円空仏写真展出品作
(岐阜市美江寺町)
岐阜県博物館で『東海地方の円空仏〜その造形と足跡をたどる〜』《平成28年9月23日(金)〜11月20日(日)》が開催される。それに協賛する写真展が、岐阜市美江寺で開催される。そこへ写真を出さないかとお誘いを受けた。未熟な写真ながらだが参加することにした。
A3ノビを額装にして3〜5点とのこと。毎年友人と行っている写真展ではA4サイズの作品を紙の簡易額装で出品してきた。まず道具からと、額を購入した。続いて作品を選び、近くのカメラショップで写真をA3ノビに引き伸ばしていただいた。黒いアルミの額に入り大きくなったわが写真は、ひいき目で立派に見える。馬子にも衣装か。
写真展に先立ち、私の写真展を開催する。
喜怒哀楽の仏たち
1, 「喜」 十一面観音像(岩屋観音堂…岐阜県美濃市片地)109.7cm | |
現在は美濃和紙の里会館(美濃市蕨生)に。 岩屋観音堂は片知板山より郡上市美並町根付村を越す旧道沿いで瓢岳中腹、円空が修行したと言われる岩窟にある。 円空はここに住み、板山部落に降りてきて風呂に入ったり食事をしたりのもてなしを受けたと言う。 いまも円空様のお陰で板山に落雷はなく、村に難産のためしがないと伝わる。十一面観音だが、化仏は6面しかない。 魅力的な笑みを浮かべた「喜」「微笑」を代表する仏だと思う。 |
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2, 「怒」不動明王像(岩舟不動堂…高山市丹生川町柏原)133.0cm | |
現在岩舟公園集会場休憩所に移座されている。 岩舟滝前に不動堂があり、修験者がここで修行した。円空もその一人であった。 ここには三体の円空作の像がある。不動三尊ではなく神像と僧形像である。いずれも背銘の種字が弱々しい。 この不動の顔がいい。全体的には足が短くお腹がポコリでバランスがよくない。しかしやや斜め左下を向いた表情は迫力があり、品がある。 円空仏の「怒」りの表情の中で私が好きなものである。 |
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3,「哀」青面金剛神像(個人蔵…岐阜県下呂市小川)49.6cm | |
「しょうめんこんごうしん」と読む。 初めて写真でこの像を見たとき、ぜひ拝観したいものだと思った。個人蔵では何ともならないなとも思った。 たまたま下呂温泉合掌村の中の「円空館」で対面できた。見入った。足元に三猿(見ざる・言わざる・聞かざる)が彫られている。 三つの顔を持ち三つの目がある異形にもかかわらず表情がいい。上からのアングルにしたら「哀」愁が際立った。 背銘に元禄四年(1691)の貴重な記載がある。 |
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4「楽」毘沙門天と不動明王(庄中観音堂…愛知県尾張旭市庄中町南島)91.0cm | |
2010年「円空展」のカタログ(一宮博物館・長谷川公茂著)にこうあった。 「円空の造顕した三尊形式の中に慈恵大師創案の三尊があるが、庄中観音堂の観音・不動・毘沙門の三尊が、それに当たる」。 観音さんは中尊だけに背が高い。鉄格子で護られた大変窮屈な仏壇に重なるように祀られている。 しかし写真を撮っていて思ったのだが、この二体とても仲良しに見えてきた。実に「楽」しそうだ。 延宝4、5年頃充実期の作である。 |
私が最後まで出品作で迷った作品がある。一応A3ノビにしたが私のテーマ《喜怒哀楽》に収まらなかったことが一番大きな理由だが、未練が残る。ここに残しておこうと思う。