円空さんを 訪ねる旅(105) 天喜寺 (岐阜県大垣市上石津町) |
寛文後期の薬師如来座像
ガンダーラの会主催「西濃の円空仏を見るそして華厳寺ツアー』(2018・3・14・講師小島梯次先生)に参加しました。揖斐川町から大垣市へ移動して来ました。
天喜寺は小高い丘の上にあり、バスからの急坂は堪えました。天喜寺は臨済宗妙心寺派の寺で、平安時代の開基で年号を寺号にされました。
ここに寛文後期の円空仏の特徴を持つ薬師如来がおられました。
(1)長い裳懸座と耳朶長大相
この像の特徴を箇条書きします。
①長い裳懸座像である。
②耳朶長大相である。
③背面に梵字は書かれていない。(後代の文字が見える)
④丁寧な彫りである。
⑤目は一直線である。
⑥右脇腹からの衣は出ていない。
⑦頭部が一段のように見え、肉髻(にっけい)がない。
⑧袖口から左右に丸く流れる線は彫られている。
⑨腕と体の間の窪みは彫られていない。
⑩手は左手を上にして、薬壺を持っている。
長い裳懸座については、円空さんを訪ねる旅79岐阜市美江寺にあります。参考にしてください。
背面に文字が見られます。私が撮った写真では判然としません。「東光山 承応 二年 薬師寺」と書かれているようです。承応2年は1653年で、もしこの年号が正しければ円空20才の時の仏像ということになりますが、先程からの特徴から考えると、寛文後期の像であろうと思われます。天喜寺の末寺である薬師寺にもともとあった像ではなかろうかということでした。その薬師寺がどこなのか、聞くのを忘れました。