円空さんを 訪ねる旅(91) 三蔵寺 (三重県志摩市片田) |
三蔵寺の円空さんを拝観するのは二回目。三蔵寺の仏壇にはちょっと珍しい三尊がおられた。中尊は観音菩薩で、脇侍に阿弥陀如来と薬師如来というもの。はじめてで驚いた。
円空さんを訪ねる旅24に前回訪問時の記録がある。前回はお堂の外から拝ませていただいたのだが、今回は中へ入って身近に見せていただいた。
今回は、聖観音像ともう一体の大黒天像も見せていただけた。
棚の上にあった聖観音像を下へ降ろすのを手伝った。相当な重さで三人がかりあった。165cm余あり、やや不安定で足に後ろに反らせるための木が二枚用意されていた。
(1)聖観音像
(165.2cm)
この像は踏み分け蓮座である。この形式は円空の初期作品東北北海道などに多い。三重県津市真教寺の十一面観音も踏み分け蓮座。今回背面に何か墨の痕跡らしきものが見えた。文字とは言い難いし判読困難ではあるが何か書かれている。木材に元々あった印のようなものも見られる。(下左側)裏面は手斧がけしてある。建築材を使用したのではなかろうか。
頭部から胸部にかけて大きな割れが見られる。ノミ跡は荒々しく全体に黒ずんでいる。柿渋でも塗ったのではなかろうか。
後頭部に穴があり像内納入品が入っていた。仏舎利石を包むように紙片があり文字が書かれていた。
「奉転読大般若経祈所背不可○○○教五眼○放○○薩」と書かれていたようです。現在はこの紙片は失われた。円空が像内納入物を入れた像は現在14体あるそうで、中身が確認できるのはそのうちノ6体。時期的には寛文9年(1669・38歳)から(延宝2年(1674・43歳)までの5年間。
(2)大黒天像
(12.5cm)
民家に伝わり三蔵寺に寄せられた大黒天だそうだ。飾り気のない大黒天で、お世話になった方に時念仏として与えたのであろうか。足と座の関係がよく分からないのだが筋彫りの座の上に蓮座をイメージしたのかなと思った。