円空さんを 訪ねる旅(158) 愛知県三河地方某所 |
愛知県の三河の円空さんを訪ねる会に参加したときにお会いした不動三尊です。円空の不動明王はあちこちにありますが、不動三尊で彫るのは珍しいのです。
お聞きした話によると、もともとは名古屋近郊の日進山中の祠に祀られていたそうです。昭和13年に行者さんが霊感を感じ、その祠堂を開けると中に不動三尊がおられたとか。それが現在は三河の某所におられるのです。私の下手くそな絵で雰囲気だけお感じ下さい。
不動三尊
制多迦童子(36.5cm)・不動明王(70.7cm)・矜羯羅童子(37.5cm)
黄色や茶色系統の色が塗ってあるところは腐食が進んで穴があいていたり剥落している箇所です。相当傷みが進んでいて、気の毒になりました。特に制多迦童子と矜羯羅童子二体の傷みが激しく、立てることが出来ませんでした。左の制多迦童子は宝棒を持って立てています。顔の腐食はなく、キリリとした怖い顔をしています。右の矜羯羅童子は、顔の痛みが甚だしく、左側面に眉、目、口は鋭い一本線で見られますが鼻は崩れていました。僧形像。 本尊の不動明王の頭が少し気になりました。不動さんは怒りで頭髪が乱れぬように弁髪にして左側に流しておられるものもあるのですが、円空は編み目の模様のようにするときもあれば、このようにオールバックにして、段差をつけることも多いようです。この像では、頭髪を一括りにして結い上げたようになっています。その結い上げた箇所が鳥の顔のように見えるのです。こういう形の髪形を前に見たことがありました。珍しいなと思ったので印象に残ったのですが、確か京都であった円空仏のオークションに出品された作でした。その髪型と似ています。 不動明王の持っておられる剣は倶利伽羅の剣ではないようです。根元が細くなっています。羂索はなくなっていますが昔は持っていたのでしょう。この剣と縄は、仏敵に対して向けられると同時に、煩悩や因縁を断ち切ったり、悪や煩悩から抜け出せぬ人間を縛り上げてでも救うという強い意志の表れでもあるそうで、不動さんは頼りになる仏様であったのです。庶民にとってはお地蔵さん、観音さん、阿弥陀さんと並ぶ信仰を集めた身近な仏様だったのです。 |