円空さんを 訪ねる旅(124) 大聖寺 (愛知県岩倉市川井町) 観音 |
2019年5月26日(日)14時から円空学会大聖寺研究会が開催された。
名鉄犬山線大山寺駅から、大きな農家や畑、神社を通り西へ徒歩20分。無事大聖寺到着。駅前で大きな旅行カバンを持って立っておられる5人の方々と前後して歩いた。後で同じ目的地だったことがわかった。。東京、神奈川、埼玉など関東からの参加者、大阪、京都など関西からの参加者、そして地元岐阜、愛知の参加者で合計40名を越える参加者。
大聖寺は曹洞宗のお寺だ。住職は「岩倉市史」を引用しながら大聖寺の歴史について語らた。慶長五年(1600)草創であること、寺号が大正寺、大昌寺などを経て現在の大聖寺になったのは、天保8年(1837)とのことであった。「般若心経」をあげていただきお焼香させていただいた。
前田邦臣常任理事から羽島市中観音堂や江南市音楽寺の特別公開、関東の円空仏の公開紹介があった。
地元の舩橋昌康常任理事から、岩倉街道は犬山方面から名古屋城へ物資を運んだ街道で、円空仏がもっと岩倉から発見されても不思議でないという話とともに、今から35年ほど前に、岩倉で円空仏発見のニュースが新聞に大きく取りあげられたことがあるという話があった。その後それは贋作であることが判明し、岩倉の人たちは円空仏に対して慎重になったという話もあった。
小島梯次理事長から、自由で闊達な意見交換を促す話のあと、大聖寺の観音について説明があった。
小首を傾げ穏やかなお顔の観音菩薩
(55.0cm)
穏やかでいい表情だ。円空の一番簡単な彫りで目鼻口を彫り出す手法である。こうして正面から見ると、たいへんボリュームのある像に見えるが、横から見ると、へえ、こんなに薄いのかと思う。下から撮った右の写真は首を右へ傾げているのがよく分かる。生成に材の特長を生かして彫っているのであろう。手を正面から向かって左へずらし顔の傾げるのに合わせているのも効果的だ。衣文が右だけなのも傾げに呼応していると思われる。
この像の特徴は、高く上がった火焔状の髪型である。これ程大きいものは珍しいということであった。小島理事長が資料であま市七宝町個人蔵の観音像や、稲沢市板葺阿弥陀堂観音像(現在一宮博物館寄託)などを例にあげ、火焔状の髪の観音像は尾張地方の特徴だと指摘しておられた。円空の観音像の髪型には他に富士山状のものや化仏を彫った宝髪がある
この像には背銘がない。したがっていつ頃の作であるかの決め手がない。尊名も確かなことは分からない。様式論になるがおそらく延宝後期の観音であろうということであった。