かば訪問記
福岡市動植物園編(福岡市中央区南公園1番1号)
■交通案内
地下鉄七隈線「薬院大通」駅下車、56番・58番バス約6分で「動物園前」
「薬院大通」駅からの徒歩15分はきつい。バスがおすすめ。

■入園料
大人500円 団体割引券480円
*上の動物のイラスト及び右の写真は「薬院大通」駅構内にあったものです。

(1)薬院大通駅にて

 福岡市の地下鉄は、空港線と七隈線の二つがある。博多と天神を通っている空港線は乗降客も多く混雑している。天神南から薬院の次の駅である「薬院大通」駅のある七隈線はゆったりしていた。
 2018年8月5日(日)午前中に西鉄で小郡近くにある今村天主堂へ行き、帰りに太宰府天満宮と九州国立博物館へ立ち寄ったあと、動物園へ向かった。西鉄「薬院」駅から地下鉄「薬院」へ乗り換えた。連日の猛暑と強行軍で疲れていた。その上不慣れな土地での移動で足取りも重かった。
 地下鉄「薬院大通」駅改札で、動植物園行きのバス停の場所と、徒歩ならどのくらいかかるか尋ねた。「歩くのはきついですよ。動植物園へ行かれるのですか」と聞かれたので「はい」と言うと、団体入場券に捺印してくださった。地下鉄を使うとそう言うサービスがあるようだ。
 通路を歩いていくと下の写真が壁面にあった。カバを大切にしておられそうで、期待が膨らむ。壁を突き破って登場するカバという絵柄だが、優しそうな目をしているカバさんだ。

(2)日本全国河馬めぐり「カバに会う」によると
(坪内稔典著・2008年・岩波書店)

 坪内稔典さんは、福岡動植物園でここのカバに大歓迎されたようだ。本にはこうある。(P.13)
 
「ところで、福岡市のカバに会った日は愉快だった。台風が接近していてとても蒸し暑く、(中略)カバ舎に近づくと、なんとカバが寄ってきて大きく口を開けたのである。まるで、「待っていましたよ」といわんばかりの表情だった。カバはプールを旋回し、しばらくすると私の前に来ては口を開ける。
 写真を撮っていた男性がカバを呼ぶが、そっちには見向きもしない。私はうれしくなってきた。しばらく写真を撮ったりして、、『さて、帰ろう。では、カバ、またな」という気分で手をふると、カバは急接近してひとしきり大きく口を開け、棚に口をすりつけるのだ。カメラの男は怪訝そうに眺めている。
 いい気分だった。カバと気持ちが通じたようで、しばらく暑さを忘れた。もっとも、その福岡のカバの名は分からなかった。資料によると、ここには三頭のカバがいるのだが、その日、プールに出ていたのは、一頭だけだった。(後略

 
何とも悔しいくらいいい出会いをされたようだ。

(3)さて私はと言うと

 動物園に着いた。動物園は入口付近が改装中で、横の細い道を「ほんまにこの道で「イイノカナ」と思いながら歩いた。夏の暑い日の動物園、仮設のプレハブの受付、日曜日の午後3時過ぎなのだが、出てくる人も数名。入っていくのは私一人。それでも素敵な出会いがあるかもしれないと思って、パンフレットをもらった。
 すぐに、自転車に乗った飼育員らしき方に出会った。「すみません。カバに会いたいのですけど」と言うと、ちょっと困ったように「ウーン、まずカバですか」とおっしゃった。何か困ったことでもあるのかなと思ったが、正門から一番遠い西門付近に目ざす『カバ舎』があるのだ。
 しかも坂道である。
 ゴリラ、トラ、ライオンその他人気のある動物を旭川動物園のように、多角的に見せる工夫を福岡でも始められたようで、どうしても階段を登ったりしなければ通過できない。興味のある動物もいる。カワウソの展示が面白かった。
 やっと「かば舎」の矢印板が見えてホッとした。

(4)カバ舎到着

 カバ舎全景 プール  室内飼育場 
 カバ舎です。カバがいるのが分かりますでしょうか?室内飼育場の二枚ある板みたいな右側が、ここのカバさん、タローです。ずっと、水の中で浮いてました。時々鼻の穴を開けて息を吸うときだけ顔が上がりました。小さいなと思いました。京都市動物園のツグミも小さいカバさんですが、メスだから小さいのかと思っていましたが、タローはオスでも小さいようです。

(5)こんな写真しか撮れなかった

 どっちが上かも分からないような写真です。やっぱり季節や普段の行動パターンを調べて行くのが良いでしょうね。
 真夏の午後はカバでも人でもぐだっとします。そう言えば元気溌剌の動物はいなかったなあ。

(6)福岡市動植物園のカバについて

 福岡市動物園の歴史は古い、1933年開園している。戦時中1944年5月20日戦況悪化に伴い、閉園。6月20日クマ、ライオン、トラなどとともにカバもまた脱走予防のため殺処分されている。
 
先の坪内稔典さんの本には「資料によると、ここには三頭のカバがいるのだが、その日、プールに出ていたのは、一頭だけだった」と書かれている。坪内さんの資料が何か分からないが、三頭いると書かれている本がもう一冊ある。。
 「だからカバの話」(宮嶋康彦・1999年・朝日新聞社)にも3頭(オス・メス・子カバ)の名が記されている。カンナ(62・9・30生♀)とその子ポポ(91・8・27♂)である。そしてタロウ(96・12・3♂長崎バイオパーク生まれ)である。
 この宮嶋さんの本で多くのことを学んだのだが、宮嶋さんは、全国のカバの系図を作っておられる。
 それによると、福岡に最初にいたカバは、オスのドンとメスのタンカーであった。この二頭の間にカンナ(♀)と後に姫路動物園に行くユメオ(♂)が生まれた。タンカーが死んだためか、ドンとその子であるカンナが父子でペアリングされ、ポポが生まれたのである。
 カバは牛と同じ偶蹄目で近親交配をしても大丈夫だと思われていたらしい。全国のカバの歴史を調べると、そういう例はいくらでも出てくる。
 きっと、今福岡にいる「タロー」は期待の星としてここへやって来たのだろう。しかし未だに一頭でくらしているところを見るとペアリングはされなかったようだ。一頭だけで飼われているカバもこれまた多い。よく野生動物を繁殖させることも動物園の役割だと言うけれど、その経済効率が優先されて、飼うか飼わないか、増やすか増やさないかが決定されていないかと思わざるを得ない。
 福岡市動植物園は、2025年から30年にリニューアルするらしい。飼育動物と来園者にやさしい動植物園を目ざしておられるらしい。現在動物は110種。個々の動物の飼育空間を広く採るため、現在の飼育種を2割ほど減少させる予定だそうだ。
 カバの「タロー」はこれからどういう運命を辿るのだろう。「がんばれよ」と声をかけて、カバ舎を離れた。

(7)大分の昭平逝く

 
 この地図は九州地方にいるカバの分布図。「大分 昭平(2017年7月1日死亡)。右の写真にもピンクのマーカーで「しょうへい」「2017年7月1日死亡」と書かれていた。昭平…死んだのか、可哀想にと思った。この写真の昭平の顔おかしくないか。
 大谷翔平と大分の昭平、似てる。言わずと知れた現役大リーガーと大分のカバ。昭平は、別府温泉山地獄のスター。私には切なく悲しい人気者だった。私の訪問記
「別府山地獄昭平くん」を見て欲しい。
 カバの寿命は40~50年だそうだ。昭平は1989年4月17日生まれ。10年から20年早死にだ。トモカズとモモエというこれまた曰く因縁のある名を持つ両親から沖縄で生まれた。昭和と平成が重なるところから昭平になったと思われる。
 昭平、無理がたたったのかな。ストレスあっただろうな。自分のエサ(じゃがいも)を、大きな口を開けて客に求めるという芸当で人気者だったのだ。こんな悲しい芸当をしているカバは昭平だけだった。
私がカバ好きなわけ 
2002・8・20
クイズ①かばのしっぽ
2002・8・15
クイズ②この中に
2002.9.20
わたしのかば写真館①
2002・8・14
私のカバ写真館②
2005・2・7~
メトロポリタン美術館展にて
2002・11・17 
 カバの絵本館
003・10・18
カバという動物
(天王寺動物園パネル)
2009・9・27
日本で最初に誕生した子カバ剥製
(京都市動物園)

2009・10・9 
京都市動物園のカバ
(ナルオとツグミ)

2002・9・22
おびひろ動物園のかば
2002・10・7
姫路市立動物園のかば
(キボコ)

2003・3・28
東山動物園のかば
3代目重吉2代目福子と赤ちゃん)
2003・8・29
東山動物園コビトカバ
(小次郎・小夏)
2003・8・29
別府山地獄のかば
(昭平)
2005・1・1
天王寺動物園のカバ
(ナツコ・テツオ・ティーナ

2009・9・23撮影
 王子動物園のかば
子カバ誕生

2009・10・25(日)
とべ動物園のカバ
2009・12・23(水
 上野動物園のかばさん
(ジロー)
(サツキお別れ会・河馬博覧会)
2011・5・8
旭山動物園とカバ
(その歴史と百吉)

(2014・8・4 
福岡市動植物園訪問記
(その歴史とタロウ)

(2018・8・5) 

               HPへもどる