木喰さんを訪ねる旅 (27) 光泰寺 静岡県藤枝市岡部町内容 准胝観音像 聖徳太子像 |
今回訪ねた三ヶ寺(十輪寺・光泰寺・梅林院)は、岡部町という地域にあるお寺のようです。
(1)准胝観音像
(216cm)
准胝観音というのは、あまりお目に掛かることのない観音様です。六観音、七観音の一つ。像容は三目十八臂が多い。密教の女性尊で、七倶胝仏母(しちぐていぶつも)ともいう、と広辞苑にあります。 この説明では、延命のご利益があるとのことですが、清浄を体現しておられる観音様で邪淫を抱く者を助ける仏だとも聞きました。観音は男でも女でもないのではなかったっけ。。 気の毒に相当傷みがあります。木喰の准胝観音は三臂です。上に日月を持ち上げています。中の手は合掌しています。下の手は蓮花を持っておられます。 蓮座に沓を履いて立っておられるのですが、衣服がボテッとしているためか、途中で切ると、座像のようにも見えます。 頭光の周りに光明真言。 背銘。頭部に准胝観音の種字「ボ・ブ」があり、寛政十二年甲六月二十八日ニ成就スとあります。日本千体の内なり、聖朝安穏増寶壽、天下安泰興正法、天一自在法門木喰五行菩薩、父母、ホタイ、正作などの文字。尊名は『七倶胝佛母心準胝観世音大士』と丁寧に書いています。七倶胝とは7億の仏の母の意味だそう。 |
(2)聖徳太子像
(113cm)
下にあるように柳宗悦が褒めただけのことはあるなあと想いながら拝観した。確かに表情に深みがある。合掌し冥想しておられるのである。こういう木喰さんもいいなあと思う。
聖徳太子像は南無仏像(2歳の像)は上半身裸体である。そして髪はミズラを結っているが、こういう長髪裸体の聖徳太子像はないと思う。
この像の衣服も綿入れのように分厚い。腰に衣服を巻いているように見える。座が木喰独特の模様である。沓を履いている。
背銘には頭の所に「バク」(釈迦如来種字)が書かれている。尊名「聖徳太子尊」、寛政十二甲歳七月五日の年号が入っている。他は准胝観音と同じである。この像には後背がない。従って光明真言もない。